淡路歌人クラブと淡路文化協会との共催で行われる全淡短歌祭は、所属する結社や地域同好グループ、発表経験などにとらわれなく、共に短歌を愛好し、創作に苦心しながら、お互いの作品を鑑賞し、楽しみながら短歌の仲間を増やしていこうという目的で開催されます。
会場はいつも和気藹々で楽しい雰囲気で行われております。
平成26年(2014年)(※作者 敬称略)
◇第33回全淡短歌祭
と き…7月13日㈰ ところ…洲本市図書館
参加者…53名 作品…151首
受賞作品は次の通りです。
【淡路文化団体連絡協議会長賞】
・見上ぐれば雲一つなき澄む空の碧きを胸に染まるまで吸う
竹田 富貴子(洲本市)
【淡路文化協会長賞】
・休耕の田に生い茂る草花に詫びを言いつつ刈り取って居り
上山 照香(洲本市)
【淡路教育事務所長賞】
・満天の星降る街に僕はいる広い宇宙の一部となって
久田 直樹(南あわじ市)
【淡路歌人クラブ賞(優秀賞)】
・連れそいて棚田を起し五十年継ぐ者なき農のきびしさ
星野 泰仙(洲本市)
【淡路歌人クラブジュニアの部優秀賞】
・「ありがとう」日々の感謝を言の葉に伝えてみよう今日は母の日
稲本 菜々美(淡路市)
・風が舞いふわりふわりと舞う花の行きつく先は微笑むあなた
尾田 絵梨奈(淡路市)
【淡路歌人クラブ賞(入選)】
・見上ぐれば雲一つなき澄む空の碧きを胸に染まるまで吸う
竹田 富貴子(洲本市)
・節高く「針受け」通らぬ中指に私の履歴の一つが残る
谷池 さなえ(洲本市)
・生きゐるの証と思ふ隣家より独り居の老の水音聞こゆ
木下 照美(南あわじ市)
・言葉より溢れ来るものあるうちは長くは話せず亡き父のこと
亀井 良子(南あわじ市)
・え億年の時の流れの岸辺にて君と出会いき有難きかな
山田 恵子(南あわじ市)
・三つ葉、うど採りし里山の秘密場所伝えぬままにダムに沈めり
笹津 ちよみ(洲本市)
・息子の星は揺れて真上の空にいるわれは地上に揺れて見上げる
井上 みどり(淡路市)
【淡路歌人クラブジュニアの部奨励賞】
・あなたのね後ろ姿を見ていると締めつけられるの私の心
中尾 沙耶(淡路市)
平成27年(2015年)(※作者 敬称略)
◇第34回全淡短歌祭
と き…7月12日㈰ ところ…洲本市図書館
参加者…46名 作品…145首
受賞作品は次の通りです。
【淡路歌人クラブ互選一席】
・「異常なし」と告げられ童顔にもどりたる九十五歳の父乗せ歸る
川村 まもる(洲本市)
【淡路文化団体連絡協議会長賞】
・夫の里藍いろ魅せり草木染めいにしえ想いて皆かがやきぬ
向井 千鶴(明石市)
【淡路文化協会長賞】
・まかせきり父母の介護の十二年労う言葉和歌に託せり
星野 泰仙(洲本市)
【淡路教育事務所長賞】
・ありがとう感謝の気持ちを伝えたい最近それを言えない自分
高田 優也(洲本実業高生)
【淡路歌人クラブ賞(入賞)】
・職人の技が煌めく白鷺の白亜あおぎて桜の下ゆく
片山 田佳子(淡路市)
・うちの嫁、米研ぐリズムは〈三拍子〉孫が背中でワルツを踊る
大村 博子(洲本市)
・「おじいちゃん元気でよかった」たった三日滞在の孫幾たびも言う
樫原 良子(南あわじ市)
・篤農の主人亡き田に草繁り小鳥の囀り今日も変わらず
徳田 紫惟(淡路市)
・ちゃん付けで名前呼ばれし春の宵恋でなくても心は弾む
北条 志津子(南あわじ市)
・還り来ぬ友の静けき短歌読めば心しぐるる野は花曇る
島田 英樹(洲本市)
平成28年(2016年)(※作者 敬称略)
◇第35回 全淡短歌祭
と き…7月16日㈰ ところ…洲本市図書館
参加者…43名 作品…一般の部81首、
ジュニアの部21首、
受賞作品は次の通りです。
【淡路文化協会長賞】
・傾ける旧き無住の阿弥陀堂お詣りに聞く鶯の声
後藤 州永(洲本市)
【淡路文化団体連絡協議会長賞】
・今も尚心はなびく母の里手植えの田ん圃よ祖父母も浮かぶ
杉山 正範(洲本市)
【淡路教育事務所長賞】
・青空に浮かぶわた菓子見るたびに飛べると思ったあの日を想う
長井 優花(洲本実業高校)
【尾崎まゆみ選賞】
(第一席)
・山とやま出会うことなし人とひと出会えるという記事を切り抜く
井上 みどり(淡路市)
(第二席)
・ワンパックの苺を大人食いすれば罰ゲームみたいな寂しさが来る
山田 恵子(南あわじ市)
【淡路歌人クラブ賞】
(互選一席)
・ガン告知拳のうちに潜めおき真濡れて歩む紫陽花の径
有賀 美代子(洲本市)
【淡路歌人クラブ賞 入賞】
(一般の部)
・胸内を淋しきものが走りゆくデイサービスの夫を見送る
東根 千鶴子(淡路市)
・夫婦して五十六年店続け今宵静かに看板おろす
下村 三重子(南あわじ市)
・母なればひたすら願う子の幸をおだやかな日も嵐の夜も
久田 美智子(南あわじ市)
・夫は逝き野菜作りを止めようか去年掛けくれし猪垣外す
松岡 千世代(淡路市)
・ふるさとはただ静かなりびわ狩りの幟なびくも人の影なく
大木 津多代(淡路市)
・着ることの無き紋付きを縫ひくれし母を偲べばゴミには出せず
赤松 恭子(大阪府)
【淡路歌人クラブ 入賞】
(ジュニアの部)
・地学部の望遠鏡で見えた星見えぬ未来を探してる僕
久田 直樹(淡路三原高校)
・悔しいよたった少しのタイムの差そのタイムの差は努力の差
道上 明佳(西淡中学校)
平成29年(2017年)(※作者 敬称略)
◇第36回全淡短歌祭
と き…7月15日㈰ ところ…洲本市図書館
参加者…43名 作品…一般70首
ジュニア…18首
受賞作品は次の通りです。
【淡路文化協会長賞】
・光受け夢運ぶごとき飛行機を見上げる吾の手にレジ袋
平 啓子(南あわじ市)
【淡路文化団体連絡協議会長賞】
・老いてなお寄り添う妻の優しさよ脚を引きずり吾の手を引く
池上 壽一(洲本市)
【淡路教育事務所長賞】
・かすむ空家から見える桜の木ピンクの便りが窓に貼りつく
堀 幸歩(西淡中学)
【尾崎まゆみ選賞】
〈第一席〉
・独り身に見えるものみな愛おしく鳥のさえずり草のゆれさえ
能網 徹夫(淡路市)
〈第二席〉
・思わずもぱったり逢いし髪の色彼はバーコード吾は残り雪
山本 久子(淡路市)
【淡路歌人クラブ賞】
〈互選一席〉
・「オイおかん」われを見下ろす大男キミは今でも寝顔は五歳
久田 美智子(南あわじ市)
【淡路歌人クラブ賞】
〈入賞(一般の部)〉
・泣き暮れし涙の過去を吹き飛ばし笑顔の日々に塗り変え生きる
下村 三重子(南あわじ市)
・藻刈舟クジラのような背中みせ春の海面にゆらりと揺れる
片山 田佳子(淡路市)
・ほの白き夜明けの漁港さわぎだす大漁願ひ発つ漁師舟
有賀 美代子(洲本市)
・見はるかす新緑照り映え鳥うたう長閑に聞こゆ山里の朝
東 美代子(洲本市)
・療養の夫とゆるりと住みおれば柿の花など目に留まりたり
大島 美代子(淡路市)
・秘境とて今も変わらぬ生家こそ他人には言えぬ心の宝
川端 富雄(淡路市)
【淡路歌人クラブ賞】
〈入賞(ジュニアの部)〉
・いつもよりイケメンになる今日晴れて卒業写真を気合い入れ撮る
久田 直樹(淡路三原高校)
・今までの苦しく辛い練習は今こ のときの一泳のため
道上 明佳(西淡中学校)
平成30年(2018年)(※作者 敬称略)
◇第37回全淡短歌祭
と き…7月14日㈰ ところ…洲本市図書館
参加者…48名 作品…一般59首
ジュニア…31首
受賞作品は次の通りです。
【淡路文化協会長賞】
・君の声を欲しい夕暮れありまして猫をぎゅうんと抱いたりします
山田 恵子(南あわじ市)
【淡路文化団体連絡協議会長賞】
・就活のスーツの娘の行く先にまぶしい朝の光が届く
上田 ルミー(洲本市)
【淡路教育事務所長賞】
・そよ風が白い冠毛舞い上げる希望と夢を新たな場所へ
村上 綾理(西淡中学)
【中川 昭選賞
〈第一席〉
・手のひらにいくつ乗せしやこぼれしや苺あまおう幸せのいろ
島田 英樹(洲本市)
〈第二席〉
・正平調声上げ読むを日課とす患ふ喉の鍛練として
亀井 美代子(南あわじ市)
【淡路歌人クラブ賞】
〈互選一席〉
・その車に乗るまいといふ仔牛にも固き意志あり足をふんばる
西久保 光子(洲本市)
【淡路歌人クラブ賞】
〈入賞(一般の部)〉
・まつ毛の上に少し積もった哀しみを瞬きをして振り払っている
大栗 陽子(南あわじ市)
・失職の若きが座して見つむるは大水槽の水母の浮遊
木下 昭美(南あわじ市)
・病床の妻の涙を拭きやれば指にとからむティッシュの湿り
池上 壽一(洲本市)
・君の声を欲しい夕暮れありまして猫をぎゅうんと抱いたりします
山田 恵子(南あわじ市)
・待合で隣に座りし女のあり母の空気に目を閉じ浸る
亀井 良子(南あわじ市)
・めぐり遭ふその山百合の清楚さに夫を偲びてしばし佇む
久保 英美(洲本市)
・ころげるな薬忘れるな と言いくれて子等帰りゆく青葉の下を
松岡 千世代(淡路市)
・手のひらにいくつ乗せしやこぼれしや苺あまおう幸せのいろ
島田 英樹(洲本市)
・就活のスーツの娘の行く先にまぶしい朝の光が届く
上田 ルミー(洲本市)
【淡路歌人クラブ賞】
〈入賞(ジュニアの部)〉
・夏祭り色とりどりの浴衣着て空の花火も心も騒ぐ
川上 麻緒(西淡中学校)
・戻る所家族とペットが待っている会話がはずむ自慢の家だ
小坂 希果(西淡中学校)
令和元年(2019年)(※作者 敬称略)
◇第38回全淡短歌祭
と き…7月20日㈯ ところ…洲本市図書館
参加者…48名 作品…一般の部 104首
ジュニア部門50首
受賞作品は次の通りです。
【淡路歌人クラブ賞】
〈互選一席〉
・パソコンもスマホ使えぬ己が手は鍬鎌持てば器用に動く
山本 弘子(洲本市)
【淡路文化協会長賞】
・この道は滑走路のよう飛べるかも 飛んでみようかアクセル踏んで
大栗 陽子(南あわじ市)
【淡路文化団体連絡協議会長賞】
・大地より恵まれしもの負に変わり増え続けいる核ごみプラごみ
谷池 さなえ(洲本市)
【淡路教育事務所長賞】
・温かな春の日差しを浴びながら日なたぼっこでふ化する私
山崎 姫奈(西淡中学)
【落合けい子選賞】
〈第一席〉
・つゆ草のつゆけき藍に知るこころ吾が身のほどに生くるが良しと
小川 節美(明石市)
〈第二席〉
・人生の余白はわづかと思ひつつ記せることの今日も無きなり
亀井 美代子(南あわじ市)
【淡路歌人クラブ賞】
〈入賞(一般の部)〉
・みちのくへ買われし仔牛みちのくの言葉わかるかまだ寒かろう
門口 佐代子(洲本市)
・人生の余白はわづかと思ひつつ記せることの今日も無きなり
亀井 美代子(南あわじ市)
・終戦に間近き月日刻まれし少年兵の墓に苔生ふ
荒浜 悦子(洲本市)
・夕刻の山蔭線は訛満ち母をゆっくり娘へ還す
蛇持 なみじ(洲本市)
・三輪車こいでた息子はや二十歳「愚痴なら聞くぜ」とメールくれたり
久田美智子(南あわじ市)
・すり減りし流しの前の床板は母の居ませし日々の証しか
松島 加代子(洲本市)
【淡路歌人クラブ賞】
〈入賞(ジュニアの部)〉
・入学式さくら散らずにもう少しピンクの気分で居させてほしい
松下 莉於(西淡中学)
・春の風花を揺らして遊んでるブランコを押す母さんのよう
増田 隼和(西淡中学)
令和2年(2020年)(※作者 敬称略)
令和3年(2021年)(※作者 敬称略)