〔淡路文学作品展〕
島内外の会員による俳句、短歌、雑俳等を一堂に出品され、先人たちの手で育まれてきた短詩形文字が
今に受け継がれ、各分野で活発に創作活動が行われています。
古代大宮人にとって淡路島は、国生み神話の島であり、御食国であり、海洋交通や軍事上の要衝の島であ
り、風光明媚の「美し国」でありました。記紀歌謡や万葉集の歌人たちは、難波の崎や明石の海岸から淡路
の島影を望んで詠い、淡路島を訪れて風物や人情に触れ、その感動を和歌に詠みました。
爾来、淡路島は、島内外の人々によって和歌や俳句、雑俳・漢詩・川柳・詩などに詠まれ、島人は、それ
らの文学作品に親しみ、大切にしてきました。島内に二百数十基の文学碑のあることがその証しであり、
いまも増え続けています。先人たちの手で育まれてきた短詩形文学が今に受け継がれ、各分野で活発に創作
活動が行われております。
第28回作品展 平成18年(2006)
《雑 俳》
淡路雅交会 (代表/前池 文夫 南あわじ市北阿万新田中74-6)
歩数が伸びる秋桜の道 以頭 芙蓉(南あわじ市)
携帯で家計へ響く程喋り 後藤 緑洲(洲本市)
ヒマラヤの夜満天にうめる星 斉藤 司 (南あわじ市)
満場一致ホットする議長席 野口 千里(南あわじ市)
生きて居た居た便り西成 福原 拓福(南あわじ市)
広い此の世に君と添い嬉し日々 前谷 山月(南あわじ市)
光る太陽渦潮の海を染め 山口 宏洋(南あわじ市)
国体を登竜門にする北京 前池 清泉(南あわじ市)
滝の音古道の落ち葉踏んで開き 樫本 律 (南あわじ市)
未だ未だ熱い団塊が気力見せ 東良 峰月(南あわじ市)
《俳 句》
淡路若葉会(洲本市) (代表/久保 昌子 洲本市本町7-2-26)
爽やかに鏡にうつる笑顔かな 久保 昌子 (洲本市)
師のそこに在すごと話す墓参かな 久保 英美 (洲本市)
夢に立つ師のお言葉の爽やかに 三根 香南 (洲本市)
図画亭の枯山水に石蕗明り 増田 直美 (洲本市)
辷る如田舟の進む水の秋 物部 チエ (洲本市)
秋天の下に濠あり城址あり 太田 とよ子 (洲本市)
仰望の鳴門大橋鳥渡る 松本 眞美 (洲本市)
田仕舞の煙棚引く淡路富士 脇田 登志子(洲本市)
季節洲本俳句研究会(洲本市) (代表/居内 弘子 洲本市上物部2-9-4)
黒揚羽森のでぐちに影おとし 居内 弘子 (洲本市)
青嵐吟社(南あわじ市) (代表/坂本 昌穂 南あわじ市倭文流383)
十和田湖の紅葉重なり旅はずむ 坂本 先峰 (南あわじ市)
《短 歌》
千鳥短歌会 (代表/小林 照代 南あわじ市松帆塩浜9-4)
振り向けば誰一人居らぬ夢を見き 過ぎし日母も同じこと言ひし 阿萬野 洋子(南あわじ市)
みどりごの折に笑まふを囲みゐる人ら明るし ゆめを語りて 居内 初音 (南あわじ市)
幾トンの水の圧力胸に受け無人の海をかき分けて行く 大鐘 稔彦 (南あわじ市)
孫達の帰りしあとの部屋に座しツクツクボウシの声を聞きゐる 亀井 美代子(南あわじ市)
赤とんぼ ほほふるるほどにむれとびぬ秋雨前線南下の夕べ 木下 昭美 (南あわじ市)
竹おち葉 風にのりてゐるひとつあり 浅黄の空に すはれてゆきぬ 小林 照代 (南あわじ市)
夏の月近しとも遠しとも見えて未だ生きているような おとうと 品川 敬子 (南あわじ市)
銀杏の葉舞ひ舞ひ散り積もりゆく歓声あげて共にまふ子等 高田 奈加子(洲本市)
植ゑ替えて三年となるや しだれ梅 満開の緋に牡丹雪ふる 田原 富枝 (南あわじ市)
犬のような仔牛がきたと隣家の主 あわてて畑よりとんで来 土井 桂子 (南あわじ市)
あい染のスカーフ 娘より届きたり 敬老の日にお披露目しよう 豊田 清美 (南あわじ市)
早暁の畦に光れる露の玉 視覚変へれば色移りゆく 長江 利明 (南あわじ市)
おだやかに二百十日の明けたれば 児等の二学期 天いただかむ 日種 和子 (南あわじ市)
卆寿過ぎ傘に重たき 梅雨しぐれ 娘の家の庭にもじづりの咲く 福田 八重子 (南あわじ市)
母遺せし畑に向日葵咲かしめて日日の不安を僅か癒さむ 前谷 節子 (南あわじ市)
納骨に訪ふ寺の前庭に母の名と同じ藤の花咲く 宮本 率子 (南あわじ市)
ひとりでは観るに惜しやと隣家の媼呼び出すこの月の月 安田 茂子 (南あわじ市)
おばさんになっても泣き虫飼っている 紫陽花の陰やベランダの隅に 山田 恵子 (南あわじ市)
花サラダ短歌会(洲本市) (代表/荒浜 悦子 洲本市中川原町厚浜721)
夕かげの差し込む庭の萩の花たわみし枝のゆらぐともせず 荒浜 悦子 (洲本市)
涼風に紫苑の花のそよと揺れ君想う色 淡きむらさき 平野 静子 (洲本市)
「牛乳がお腹でジャンプしたんだよ」孫は三才 赤とんぼ翔ぶ 前田 陽子 (洲本市)
祖母のあと追ふ童女より彼岸花いちりんと笑顔を受ける野の径 笹津 ちよみ (洲本市)
日溜りに伸びてちぢんでまたのびる「の」の字に丸まる「つ」の字のトラ猫 細川 恵子 (洲本市)
東浦短歌会(淡路市) (代表/来田 務 淡路市久留麻1229-5)
身にまとふ寂しさありて十薬の乾く軒端の照る日曇る日 岡田 和子 (淡路市)
掃きよせる落葉の中の空蝉よたのしかりしやひと時の夏 片山 田佳子 (淡路市)
逝くもよし生きるもよしの諦観に孫生れたれば慾が出てくる 来田 務 (淡路市)
あの丘もこのゲレンデも草萌ゆる志賀高原を越えて湯の宿 谷田 豊澄 (淡路市)
河原の流れ一面湯気たてて草津温泉みどりきわまる 東根 千鶴子 (淡路市)
黄金のいなほの中にひとむらのまっかに映えしひがん花みゆ 宮田 智恵子 (淡路市)
海原に時折ゆかむまろき月見放くる空にあかあかとてる 山本 久子 (淡路市)
幸せは数限りなく手を伸べてつかむのはあなた柚葉よゆずは 井上 みどり (淡路市)
第29回作品展 平成19年(2007)
サラダ歌人クラブ(洲本市) (代表/荒浜 悦子 洲本市中川原町厚浜721)
贈りたまへる君偲ばせて淡紅のほのかに香り咲くシクラメン 荒浜 悦子 (洲本市)
嵐すぎし庭に独りの客となり冴える虫の音コンサート聞く 笹津 ちよみ (洲本市)
スティックに入魂一打白球は軌跡描きて赤球弾けり 島田 英樹 (洲本市)
名月に兎集ひて今宵宴か柏原公園に人影もなく 谷畑 恵 (洲本市)
秋祭り集まる人は年寄りで笑いと笑顔 子供いずこへ 西田 正男 (洲本市)
白き瓶に紅の秋桜ゆれる朝 若き門出の招待とどく 平野 慶子 (洲本市)
虫の音と紫苑の淡きむらさきは優しく告ぐる季の移ろひ 平野 静子 (洲本市)
悠々の明石大橋に手を合わせ菩薩の祈り十六夜の月 東 雅山 (洲本市)
スカイブルーかコバルトブルー プルシアン?言い尽くせない秋の大空 細川 恵子 (洲本市)
泣きすがる幼を託して帰る道しだれ柳のしずかに靡く 前田 陽子 (洲本市)
鎮魂のあかりの竹の器焼く炉の火しづまり燿くが見ゆ 伊澤 信雄 (神戸市)
城山の路に踏まるる山桃は幼日 兄と唇染めし紅 奥野 波津三 (洲本市)
永らへて初曾孫を抱く幸せを亡き夫ともども噛み締めたかり 東田 壽美子 (洲本市)
枝を張り天に伸びゆく緑陰にメタセコイアの生気吸いこむ 小林 陽子 (加東市)
ひとり生まれ終りも一人と知りつつも憶ひは遠き独り居の母 斉藤 和子 (横浜市)
千鳥短歌会 (代表/小林 照代 南あわじ市潮美台2‐5‐9)
母の忌日違へしことなしはらからの誰からともなく今日を寄りあふ
阿万野 洋子 (南あわじ市)
飄飄と我が道を行く医師あり人生の極意この人に聴かばや 大鐘 稔彦 (南あわじ市)
日焼けした七星と優希は女の子浜辺に遊ぶを嘆くその父 柏木 初子 (南あわじ市)
いささかの罪の思ひに踏みてゆく銀杏並木の黄色き歩道 亀井 美代子 (南あわじ市)
逆縁を親不孝とは言はれまじ無為に生くより使命に果つれば (長井健司氏を悼みて) 木下 昭美 (南あわじ市)
逝く雲の間に見え初む秋空の縹さながら露草のいろ 小林 照代 (南あわじ市)
捨て犬に祖父の俳号つけし子の柿音と呼ぶ声やさしくひびく 田原 富枝 (南あわじ市)
隣の子にお茶しようよと軟派する曾孫は三歳超都会っ子 土井 桂子 (南あわじ市)
曼珠沙華ゆくて行く手に燃え立ちて遠回りするリハビリの道 豊田 清美 (南あわじ市)
夕されば思ひ遂げゆく一途さに風蘭甘きかほりをゆらす 日種 和子 (南あわじ市)
この夏の暑さに萎えし我が肌を冷やりと擽る秋風いとおし 前谷 節子 (南あわじ市)
いずこより迷いきたるか蛍の物干し竿に光れる夕べ 宮本 率子 (南あわじ市)
東浦短歌会(淡路市) (代表/来田 務 淡路市久留麻1229-5)
釣り人の岩を動かず黄昏の雲も移らず秋というなる 井上 みどり (淡路市)
連れ立ちて中洲に千鳥とびゆきし亡友をしきりに思う日の暮れ 岡田 和子 (淡路市)
つり船は満月の下ゆるゆると鏡のような海面にあそぶ 片山 田佳子(淡路市)
古びたる看板続く街並みはいずこも疲れた貌をしている 来田 務 (淡路市)
ふるさとは姿変らず久々の友は杖つき迎えくれたり 木村 香代子 (淡路市)
群れを抜け出で来し人は亡夫に似てはっと息のみ吾は近づく 小林 三千代 (淡路市)
白く延ぶ淡路橋立成ヶ島むら雲はるか紀伊に湧き立つ 谷田 豊澄 (淡路市)
散りゆかむ木々にありても紅葉のかがやき欲す老いてゆく身に 東根 千鶴子 (淡路市)
むらさきの藤花ゆれてかすかなる香りただよう夕かげる庭 宮田 智恵子 (淡路市)
ママママと帰り待つ孫愛おしき雨が地を打つ窓辺に寄りて 山本 久子 (淡路市)
青嵐吟社(南あわじ市) (代表/坂本 昌穂 南あわじ市倭文流383)
潮香る鯵釣りの島夕映えて 坂本 先峰 (南あわじ市)
白露淡路句会(南あわじ市) (代表/中谷 のぶ 南あわじ市倭文庄田718)
花すすき 揺れて記憶の人揺らぐ 奈良 敏子 (南あわじ市)
炎のような夕日の沈む終戦日 的崎 正子 (南あわじ市)
暮れてなほ青空のこる酔芙蓉 山口 光代 (南あわじ市)
花菖蒲うしろ姿に記憶あり 広地 千恵子(南あわじ市)
うすづきて風の果なる秋の虹 萩原 征恵 (南あわじ市)
橋桁につなぐ川舟去ぬ燕 柏木 富美枝(南あわじ市)
峠出て海よりの風光り来る 児玉 百合子(南あわじ市)
コンバイン音吸はれゆく秋の空 鼎 まつ子 (南あわじ市)
遠山にあかね一すじ吾亦紅 牛田 さやか (南あわじ市)
現し世に変らぬ庭の玉すだれ 島田 たか子(南あわじ市)
ひたすらに高野へはやる水の秋 中谷 のぶ (南あわじ市)
季節洲本俳句研究会(洲本市) (代表/居内 弘子 洲本市上物部2-9-4)
あじさいや言葉さがしに日が暮れて 居内 ひろ子 (洲本市)
淡路若葉会(洲本市) (代表/久保 昌子 洲本市本町7-2-26)
ふりかへる海のまぶしき野水仙 久保 昌子 (洲本市)
母呼べば母の応ふる秋灯 久保 英美 (洲本市)
師の眠る寺町を飛ぶ帰燕かな 三根 香南 (洲本市)
浄瑠璃のさはりにかかり団扇止む 増田 直美 (洲本市)
本堂の昼なほ暗く残る虫 物部 チエ (洲本市)
稲雀大樹に吸はれ吐き出され 松本 眞美 (洲本市)
夕影のさしたる庭にちちろ虫 脇田 登志子(洲本市)
木漏日をぬけ城の道秋日濃し 濱田 輝子 (洲本市)
南淡七曜俳句会(南あわじ市) (代表/稲山 忠利 南あわじ市北阿万筒井468)
由布岳や雲湧き昇る野分あと 朝野 茂実 (南あわじ市)
崖紅葉神の盆景仰ぎけり 井手 由紀江 (南あわじ市)
畝立ての土くろぐろと秋の蝶 稲山 忠利 (南あわじ市)
宮趾の花野に飛ばすグライダー 榎本 純子 (南あわじ市)
試歩のばす流るる岸辺田鴫鳴く 江本 脩 (南あわじ市)
掲げある洲浜の家紋荻の風 喜田 明子 (南あわじ市)
旱星仰ぎて口の乾き居り 藤堂 惇子 (南あわじ市)
秋高し釣の少年岬に立つ 橋本 武美 (南あわじ市)
背伸びして子の呼びかける赤とんぼ 林 育枝 (南あわじ市)
蕎麦の花峡の一戸に声もなし 原 茂美 (南あわじ市)
琴平の石段長き秋暑かな 山崎 榮子 (南あわじ市)
つつじ会(淡路市) (代表/奥山 梅村 淡路市生穂1493)
王さまの涙のワイン月に酌む 奥山 梅村 (淡路市)
昼蛙芭蕉ゆかりの伊賀に来て 稲室 博子 (淡路市)
ひとり居の残暑にコーヒー熱く入れ 岩井 隆子 (淡路市)
草刈るや新しき風さっと過ぐ 尾崎 美佳 (淡路市)
山風や葉のみな裏に葛の花 川村 ひろみ(淡路市)
硯箱ことりと開けて良夜かな 雉鼻 陽子 (淡路市)
立ち話長くなりたり女郎花 長尾 千鶴子(淡路市)
障子貼る仏間の桟の細かくて 水取 玲子 (淡路市)
春潮や浦波千疊騒ぎをり 宮原 敬子 (淡路市)
大揺れも小揺れも愛し秋桜 山田 かずみ(淡路市)
淡路雅交会 (代表/豊田 忠士 南あわじ市榎列小榎列256-2)
無くなった 常識の 物指し (松風吟社) 豊田 一松 (南あわじ市)
波風 耐えて生き抜く磯の松 (松風吟社) 平 一星 (南あわじ市)
隠し芸 猿に教えて飯を食い (松風吟社) 楓 一風 (南あわじ市)
(洲本美也古会/洲本市)
馬耳東風 北朝鮮のしたたかさ 射場 臥石
好きな人 今じゃ空気になって老い 野村 れい子
迎えまだまだ 元気百歳 後藤 紫峰
何の曲でも 阿久悠の 素敵な詞 中村 てん子
浴衣美人の うなじ悩まし 前田 のり子
遺憾で尻を 拭いた行政 太田 嘉月
無心に泳ぐ 金魚涼しげ 長手 幸代
死期を無やみに 延命は嫌 中野 みゆき
意地を張り どちらも負けぬ老二人 梶田 里子
まぜかえし 粗探しする反対派 西岡 さとこ
無病でも 金欠の 重患 田中 信子
波風立てぬ 良妻の すみません 後藤 緑洲
せんのかみ 出雲に集うかんなつき (松風吟社) 古川 地耕 (南あわじ市)
応援 蔭で百度の石を踏み (松風吟社) 武田 佳香 (南あわじ市)
夜風の窓に 虫のコーラス (松風吟社) 宮崎 翆園 (南あわじ市)
古都の雨 蛇の目さす 花街 (松風吟社) 池添 酔心 (南あわじ市)
理想的 子供が出来るまで別居 (西淡吟社) 山形 春浪 (南あわじ市)
星から星へ 仕事一筋 (西淡吟社) 新崎 清松 (南あわじ市)
海は揚潮 威勢よく 棟木上げ (西淡吟社) 前谷 山月 (南あわじ市)
おいでやす 手盆のお茶に柱立ち (西淡吟社) 宮本 喜楽 (南あわじ市)
一生が 勉強の 芸道 (西淡吟社) 野口 千里 (南あわじ市)
恙がなく老い 共に雅の道 (西淡吟社) 立石 とみ女 (南あわじ市)
背伸して 晴衣を着せる母嬉れし (西淡吟社) 坂本 草人 (南あわじ市)
松坂人気 エライ混雑 (西淡吟社) 済藤 司 (南あわじ市)
にぎやかに 孫が主役のお正月 (西淡吟社) 正木 梵天 (南あわじ市)
落葉静か 栗落ちる音 (西淡吟社) 山口 宏洋 (南あわじ市)
花 四季を彩り庭を染め (松風吟社) 矢野 朝華 (南あわじ市)
若返り 生みだす句にも艶と気を (松風吟社) 村上 加寿美 (南あわじ市)
人知れず耐え 生きる老体 (松風吟社) 冨永 晋州 (南あわじ市)
乗り越えて 苦労に耐えた夫婦道 (松風吟社) 居内 明春 (南あわじ市)
日本晴 菊馥郁と文化展 (松風吟社) 永田 美秀 (南あわじ市)
感謝して 快復誓う千羽鶴 (松風吟社) 原田 長月 (南あわじ市)
夢を追い 故郷すてた親不孝 (松風吟社) 金輪 千栄 (南あわじ市)
骨を折り 子の成長に夢託し (松風吟社) 長谷 渓仙 (南あわじ市)
こそこそと くしゃみで止まる立ち話 (松風吟社) 入谷 晋泉 (南あわじ市)
負けても地元 ひたすらに 斗志賞め (婦多葉吟社) 東良 峰月 (南あわじ市)
但馬の悲願 大空に舞い (婦多葉吟社) 以頭 芙蓉 (南あわじ市)
しみじみ情 身に沁みる 胸の内 (婦多葉吟社) 初田 ひとみ (南あわじ市)
郷里に残した おふくろを 呼ぶ間取り (婦多葉吟社) 宮口 胡蝶 (南あわじ市)
色香かすかに 化粧忘れず (松風吟社) 西條 照泉 (南あわじ市)
気まぐれに 日が暮れりゃ良し欲も無く (松風吟社) 楮 延水 (南あわじ市)
島の秋 色も入れたい水墨画 (松風吟社) 矢野 美仙 (南あわじ市)
芸の道 三筋の糸で悲喜奏で (松風吟社) 武田 宇多 (南あわじ市)
親を泣かせた 嫁ぐ娘の謝辞 (松風吟社) 萩原 狸月 (南あわじ市)
菊の薫りに 勲章も映え (松風吟社) 高田 秋苑 (洲本市)
難しい 受験乗り越えサクラサク (松風吟社) 高田 和泉 (洲本市)
ころころと 転ぶパンダに孫はしゃぎ (松風吟社) 的場 青蓮 (南あわじ市)
悠々自適 うれし老年 (松風吟社) 木下 竹友 (南あわじ市)
心配無用 親の背を 息子越え (松風吟社) 木下 雅松 (南あわじ市)
第30回作品展 平成20年(2008)
《俳 句》
うぶすな俳句会(洲本市)(代表/高田 菲路 洲本市五色町鳥飼浦1586)
曝書すや郷関を出し日の遥か 高田 菲路 (洲本市)
七曜俳句会(洲本市) (代表/奥野 武之 洲本市上物部1-18-5)
アーケード行きつ戻りつ去る燕 出海 和子 (洲本市)
鰯雲犬探す声遠ざかり 井出 由紀江 (南あわじ市)
聖書手に死す中国兵の夕焼けて 奥野 武之 (洲本市)
畦火より現はる大き男かな 稲山 忠利 (南あわじ市)
夕若葉両手に包む萩茶碗 林 育枝 (南あわじ市)
誓子句碑出会ひし馬篭秋ふかし 郡 清子 (洲本市)
ハーモニカの青年眼で乞ふ慈善箱 橋本 光世 (洲本市)
人よりも少し目立ちて更衣 谷先 輝彦 (南あわじ市)
陽炎の巨船のみこむ土佐の波 田中 照子 (洲本市)
初もぎの柿仏壇を明るくす 玉本 節子 (洲本市)
結び終へポンとたたいて単帯 藤堂 惇子 (南あわじ市)
海峡の波輝きて聖五月 富永 麗子 (洲本市)
客帰り又客来り盆三日 仲山 治美 (南あわじ市)
橋脚に寄す渦潮の余り潮 喜田 明子 (南あわじ市)
ゆく秋の灯を歩む人の影 原 茂美 (南あわじ市)
秋空へパラグライダー鳥になる 山口 幸子 (南あわじ市)
青嵐吟社(南あわじ市) (代表/坂本 昌穂 南あわじ市倭文流383)
早稲を刈る農夫の笑顔夕照らす 坂本 先峰 (南あわじ市)
(早稲のみのり豊かな千枚田と言われる段々畑より)
中田寒菊会(淡路市) (代表/出雲 元子 淡路市中田417)
松手入、シャキシャキシャキと風やさし 出雲 元子 (淡路市)
手に零す金木犀や香の仄か 蓑田 縫子 (淡路市)
湧き水の澄むや此処らも富士がかり 土井 環 (淡路市)
この里は田ごと黄金の稲穂たれ 上井 まさ子(淡路市)
新米を運ぶ息子の頼母しき 奥村 幸子 (淡路市)
南淡七曜俳句会(南あわじ市)(代表/稲山 忠利 南あわじ市北阿万筒井468)
蕎麦の花峡の一戸に声もなし 原 茂美 (南あわじ市)
七夕や手織の縞を身にまとふ渡り鳥見送る鳴門岬から喜田 明子 (南あわじ市)
鳴門からいま虫出しの雷一つ 稲山 忠利 (南あわじ市)
はるばると コウノトリ来し 秋麗 狩野 夏子 (南あわじ市)
天平の風生れけり奈良扇子 林 育枝 (南あわじ市)
明けがたの雫を留め乱れ萩 藤堂 惇子 (南あわじ市)
花の杜先祖の句碑のくずし文字 江本 脩 (南あわじ市)
早稲咲くや沖にうかべる小豆島 橋本 武美 (南あわじ市)
先頭の方位違わず島渡る 仲山 治美 (南あわじ市)
淡路若葉会(洲本市)(代表/久保 昌子 洲本市本町7-2-26)
落葉踏む音を過去とし未来へと 久保 昌子 (洲本市)
除夜の鐘淡路富士より響きくる 久保 英美 (洲本市)
秋しぐれ玉葱こやに遣り過ごす 三根 香南 (洲本市)
灯を落し屋形仕立ての月見舟 増田 直美 (洲本市)
流星を見て一瞬の黙のあり 物部 チエ (洲本市)
城山の空へと翔ちし草の絮 松本 眞美 (南あわじ市)
羽摶きて疾風と化せる稲雀 脇田 登志子 (洲本市)
蔦紅葉石垣を這ひ濠に映ゆ 武田 キヌエ (洲本市)
季節洲本俳句研究会(洲本市)(代表/居内 弘子 洲本市上物部2-9-4)
さよならは夕日の中のこぼれ萩 居内 ひろ子 (洲本市)
《雑 俳》
淡路雅交会 (代表/豊田 忠士 南あわじ市榎列小榎列256-2)
山にのぼれば 次の山見え (松風吟社) 豊田 一松 (南あわじ市)
八ッ当り 酔うたら上も下もない (松風吟社) 楓 一風 (南あわじ市)
平家 悲しい末路語る琵 (松風吟社) 平 一星 (南あわじ市)
《洲本美也古会/洲本市》尻取りで表現》
美也古会 秋を迎えて笑いこけ 後藤 緑洲
笑いこけ 病気造らぬ良い仲間 射場 臥石
良い仲間 そろて嬉しい開巻日 梶田 里子
開巻日 心はずませエブを待ち 野村 れい子
エブを待ち 期待外れでしんどがり 中野 みゆき
しんどがり さほど動かず口ばかり 前田 のり子
口ばかり 政治屋またも票集め 中村 てん子
票集め 車で回るうぐいす嬢 西岡 ほのか
うぐいす嬢 お願いします繰り返し 太田 嘉月
繰り返し 何時もにこにこ美也古会 後藤 緑洲
拉致家族 苛立ちの 日々暮れ (西淡吟社) 山口 宏洋 (南あわじ市)
恥知らず 捕らえる方が捕らえられ (西淡吟社) 河辺 恭敬 (南あわじ市)
せこいせこい 農機具高い米安い (西淡吟社) 前谷 山月 (南あわじ市)
ゆるやかに スペースシャトル無事帰還 (西淡吟社) 済藤 司 (南あわじ市)
月に佇み 心地良い 稲の風 (西淡吟社) 坂本 草人 (南あわじ市)
えびす顔 にこやかに舞う三番叟 (西淡吟社) 宮本 喜楽 (南あわじ市)
にぎやかに 孫が主役のお正月 (西淡吟社) 正木 梵天 (南あわじ市)
親に贈った ねぎらいの旅 (西淡吟社) 立石 とみ女 (南あわじ市)
北の軍備に 世界中 心配し (西淡吟社) 野口 千里 (南あわじ市)
笑顔絶やさぬ 家に春風 (かしお吟社) 木下 泉涯 (南あわじ市)
いで湯の香り 渓谷に 旅情呼ぶ (かしお吟社) 瀧川 静馬 (南あわじ市)
殿下バケツで 大海へ 稚魚放し (かしお吟社) 福居 和子 (南あわじ市)
庭の梅の木 一輪が 旬を告げ (かしお吟社) 中田 修楽 (南あわじ市)
異常気象が 世界狂わせ (かしお吟社) 松崎 みよし(南あわじ市)
素晴らしい 宇宙船から見た地球 (かしお吟社) 栗林 恒林 (南あわじ市)
咲いた一輪 庭に色映え (かしお吟社) 藤本 房玉 (南あわじ市)
爺の膝 猫に取られて孫むくれ (かしお吟社) 大浜 里雀 (南あわじ市)
何処となく 高貴な育ち淑女見え (婦多葉吟社) 前池 清泉 (南あわじ市)
四季を彩る 京膳の技 (婦多葉吟社) 東良 峰月 (南あわじ市)
めざましい 五輪女性の底力 (婦多葉吟社) 以頭 芙蓉 (南あわじ市)
うまいこと ほめて教える子の躾 (婦多葉吟社) 中川 桔梗 (南あわじ市)
手描き染め 花咲いて 小袖に (婦多葉吟社) 中川 葵衣 (南あわじ市)
乗り越えて 苦労に耐えた夫婦道 (松風吟社) 居内 明春 (南あわじ市)
春かすみ 亡父に感謝の名の由来 (松風吟社) 村上 加寿美(南あわじ市)
先人の知恵 生かす格言 (松風吟社) 木下 雅松 (南あわじ市)
泣かされて おつるお弓に涙拭き (松風吟社) 高田 秋苑 (洲本市)
エブが舞い 句座すゝむ 開巻 (松風吟社) 高田 和泉 (洲本市)
戸締り 要らぬ平和な里に住む (かしお吟社) 山本 一楽 (洲本市)
文化祭 趣味の祭典美を競い (かしお吟社) 松崎 薫 (南あわじ市)
善かれ悪かれ 避けて通れぬ人の道 (かしお吟社) 篠田 南陽 (南あわじ市)
阿久が遺した 永遠の名作 (かしお吟社) 樫原 幸源 (南あわじ市)
弛まず鍛え 勝ち取った 世界一 (かしお吟社) 北川 博仙 (南あわじ市)
富士が浮き出る 霊峰の雲 (かしお吟社) 松崎 好美 (南あわじ市)
差し替えて 窓辺に飾る見舞花 (かしお吟社) 木田 棟曻 (南あわじ市)
季節の香 乗せて来た 宅急 (かしお吟社) 北川 てる子(南あわじ市)
薬 いらぬ身体を親に謝し (かしお吟社) 木下 弥生 (南あわじ市)
照れ臭い 「オイ」が今更名を呼 (松風会) 武田 宇多 (南あわじ市)
満月の夜に 冴える吟詠 (松風会) 木下 竹友 (南あわじ市)
伸び上がり 手を振る母に見送られ (松風会) 萩原 狸月 (南あわじ市)
夜風の窓に 虫のコーラス (松風会) 宮崎 翆園 (南あわじ市)
大臣の椅子 雨後の竹の子 (松風会) 冨永 晋州 (南あわじ市)
生き生きと 命ある 耀き (松風会) 矢野 朝華 (南あわじ市)
五千年誇示 唸る鳥の巣 (松風会) 入谷 晋泉 (南あわじ市)
嘘も方便 祝辞へ一寸彩を添え (松風会) 的場 青蓮 (南あわじ市)
あわれ戦の 落人が 残す悲話 (松風会) 永田 美秀 (南あわじ市)
偉人の墓碑が 逸句連れ建ち (松風会) 原田 長月 (南あわじ市)
薬飲むより ジョギングで 身を鍛え (松風会) 楮 延水 (南あわじ市)
あれこれと 対策を練る温暖化 (松風会) 矢野 美仙 (南あわじ市)
千年の 齢越す 屋久杉 (松風会) 古川 地耕 (南あわじ市)
腰振り廻す 忙しいジャズ (松風会) 武田 佳香 (南あわじ市)
縺れ合い 追いつ追われつ蝶二匹 (松風会) 西條 照泉 (南あわじ市)
色を零した 山茶花の庭 (松風会) 池添 酔心 (南あわじ市)
海と山 妻と守った岬の灯 (松風会) 金輪 千栄 (南あわじ市)
《短 歌》
サラダ歌人クラブ(洲本市)(代表/谷畑 恵 洲本市中川原町安坂31-3)
まぼろしに水車のまわる音きこゆ涸れし川原にむれ咲く野菊 荒浜 悦子 (洲本市)
野辺を染め真っ赤にもえる彼岸花しばし逝きたる人を偲べり 大下 和子 (洲本市)
白鷺の啄む姿あちこちの苅田に見えて秋ふかみゆく 酒井 和子 (洲本市)
もみじの手に指にぎらせてアクチュするみどりご乳の匂ひて笑まふ 笹津 ちよみ (洲本市)
手塩にかけて育て稔りし新米と茄子の朝漬け夕餉の旨し 谷畑 恵 (洲本市)
紅葉の炎えて静もる東山寺 石段登れば心澄みゆく 西田 正男 (洲本市)
つばさくんと呼べばかけくる愛らしさ幼を今日も孫かと問はる 平野 慶子 (洲本市)
登りきてそゞろ歩きの城跡に赤きもみじの葉ひらひらと散る 平野 静子 (洲本市)
肩肘をはらず背伸びをせず詠もう うたは手料理ひと手間かけて 細川 恵子 (洲本市)
タマシイとはと幼に問はれて箸を置き何と答へむ夫と辞書ひく 前田 陽子 (洲本市)
悠々の明石大橋に手を合わせ菩薩の祈り十六夜の月 東 雅山 (洲本市)
秋の気配ただよふ庭の臼鉢にほていあおいの淡き紫 清水 テルオ(南あわじ市)
千鳥短歌会 (代表/小林 照代 南あわじ市潮美台2‐5‐9)
猫を抱き月夜の海に出で行きてあれは月だよと頭上に持ち挙ぐ 大鐘 稔彦 (南あわじ市)
軒下に帰宅を告げるつばくろのふん落ちてをり遠き春雷 木下 昭美 (南あわじ市)
椋鳥のつがひらしきが浮き浮きと餌を啄みゐる更地の草むら 小林 照代 (南あわじ市)
ざくろに実パッとはじけて手のひらに赤い涙のこぼれ散りゆく 助島 美江 (南あわじ市)
柚のかのただよう湯舟に身をひたし背すじを伸ばし老を忘るる 田原 富枝 (南あわじ市)
「おはよう」と「おやすみなさい」は君と僕の約束メール「また明日ね!」 北条 志津子(南あわじ市)
今はもう知る人もなきわが村の「真谷の恋」は本当のはなし 日種 和子 (南あわじ市)
爽快と恐怖の間を老人車押しつつあゆむ「渦の道」の上 福田 八重子(南あわじ市)
彼岸会の晴れて明るき丘の上に心穏しく墓参りする 前谷 節子 (南あわじ市)
半夏生の晴れたる朝 農繁を終へたる夫は北へ旅立つ 宮本 率子 (南あわじ市)
新月短歌社淡路支部(洲本市) (代表/谷池 さなえ 洲本市下内膳485‐1)
飽食の日々を驕れる若者に足ることの感謝説く術知らず 磯見 峯子 (南あわじ市)
きりの葉の一枚二枚と散りつぎて庭の一隅すこしづつ秋 高田 芳子 (洲本市)
虫の声ききつつ集ふえんがはにかたらひし人の逝きて久しき 竹田 富貴子 (洲本市)
健やかに見守り給へと産士の楠の大樹の木漏れ日を浴ぶ 中西 弘子 (洲本市)
遠き日の生活支えし鯨尺思いは深しまたもとの位置 南部 清美 (洲本市)
うす紅の空に溶け合ひ暑さをも涼しさ誘ふ百日紅の花 沼田 茂子 (南あわじ市)
花の咲く春は年年めぐり来るわが青春はゆきて還らず 山本 弘子 (洲本市)
夫逝きて一人の暮らしも二十年短歌に苦しみ短歌に救はる 時安 都子 (洲本市)
岸に咲く曼珠沙華の朱のきわだちて稲田は黄金の波揺らすなり 田中 みえ子 (洲本市)
引力と解ったふりして地球儀の海の不思議をいまさら聞けず 谷池 さなえ (洲本市)
第31回作品展 平成21年(2009)
《雑 俳》
淡路雅交会 (代表/豊田 忠士 南あわじ市榎列小榎列256-2)
命を繋ぐ 点滴の針 (かしお吟社) 木下 泉涯 (南あわじ市)
紅葉映え 鐘楼に 夕焼け (かしお吟社) 木田 棟曻 (南あわじ市)
大輪の花 競い合う 菊の花 (かしお吟社) 松崎 薫 (南あわじ市)
夜の川面に 鵜飼い幽玄 (かしお吟社) 中田 修楽 (南あわじ市)
余韻が残る 上手い挨拶 (かしお吟社) 樫原 幸源 (南あわじ市)
好きな道 実益兼ねた魚釣り (かしお吟社) 栗林 恒林 (南あわじ市)
秘湯秘境に 癒す紅葉 (かしお吟社) 瀧川 静馬 (南あわじ市)
くされえん 利権おいしい 天下り (かしお吟社) 森下 治 (南あわじ市)
変わり種 ママはレスラー パパは医者 (かしお吟社) 木下 弥生 (南あわじ市)
季節風物 加賀の雪吊り (かしお吟社) 松崎美与し (南あわじ市)
濃淡の墨 富士の掛け軸 (かしお吟社) 福居 和子 (南あわじ市)
丸一つにも 水墨の妙 (かしお吟社) 北川 柚子 (南あわじ市)
ふるさと 眼下に渦と木偶の里 (かしお吟社) 原田 紅葉 (南あわじ市)
月を愛で ほろ酔い機嫌 膝枕 (かしお吟社) 大濱 里雀 (南あわじ市)
今日も万歩の むつまじい仲 (かしお吟社) 藤本 房玉 (南あわじ市)
机 会議見守る 両国旗 (かしお吟社) 赤木 柿心 (南あわじ市)
上り坂 上る前から 息切らし (かしお吟社) 出口 小町 (南あわじ市)
素晴らしい 親子の至芸観る歌舞伎 (松風吟社) 平 一星 (南あわじ市)
利口者 馬鹿を演じて出る人気 (松風吟社) 楓 一風 (南あわじ市)
知らぬ間に 食てしもた スリコ木 (松風吟社) 豊田 一松 (南あわじ市)
黙々と 写経精魂こめて書き (松風吟社) 永田 美秀 (南あわじ市)
観覧車 絶景を 見下ろし (松風吟社) 萩原 狸月 (南あわじ市)
馬の尻 鼻の差へ 鞭入れ (松風吟社) 池添 酔心 (南あわじ市)
深山さむし 拝復の 細い筆 (松風吟社) 的場 靑蓮 (南あわじ市)
泣かされて 山葵のきた時価のとろ (松風吟社) 武田 宇多 (南あわじ市)
芸人 ひと笑わせて金儲け (松風吟社) 武田 佳香 (南あわじ市)
素晴らしい 宇宙からきたメッセージ (松風吟社) 金輪 千栄 (南あわじ市)
史跡謎解く 村の長老 (松風吟社) 古川 地耕 (南あわじ市)
喜びと 寂しさの 結納 (松風吟社) 楮 延水 (南あわじ市)
素顔が素敵 清純な 淑やかさ (松風吟社) 矢野 朝華 (南あわじ市)
しぶく岬の 咽ぶ荒磯 (松風吟社) 冨永 晋州 (南あわじ市)
釜揚げシラス 特上の 磯香る (松風吟社) 村上 加寿美(南あわじ市)
皆既日食 消した雨雲 (松風吟社) 矢野 美仙 (南あわじ市)
菊の薫りに 勲章も映え (松風吟社) 高田 秋苑 (南あわじ市)
清流水面 群れる蛍火 (松風吟社) 高田 和泉 (南あわじ市)
名も知らぬ 花が足 引き止め (松風吟社) 西條 照泉 (南あわじ市)
酒 人と人との和を深め (松風吟社) 池上 一甫 (南あわじ市)
縁があり 切れそで切れぬ赤い糸 (松風吟社) 椚田 妙香 (南あわじ市)
サッと答える 直感の 天才児 (松風吟社) 木下 竹友 (南あわじ市)
宇宙のマジック 黒い太陽 (松風吟社) 入谷 晋泉 (南あわじ市)
携帯電話 孫の笑顔を持ち歩き (松風吟社) 木下 雅松 (南あわじ市)
はも釣りと 観光沼島遺跡あり (婦多葉吟社) 前池 清泉 (南あわじ市)
物好きな 東大を出て芸の道 (婦多葉吟社) 東良 峰月 (南あわじ市)
慕われて 老師の庵り人絶えず (婦多葉吟社) 樫本 静楽 (南あわじ市)
かすかに残る 木簡の和歌 (婦多葉吟社) 以頭 芙蓉 (南あわじ市)
ぶらぶらと 芸者の髪で稲穂揺れ (婦多葉吟社) 西田 翆月 (南あわじ市)
シルバーマーク 急がず譲らず (婦多葉吟社) 宮口 胡蝶 (南あわじ市)
声聞くだけで 心いやされ (婦多葉吟社) 谷田 岩夫 (南あわじ市)
滝壺覆う 新緑へ 舞うしぶき (婦多葉吟社) 下野 楽遊 (南あわじ市)
希望を胸に 旅立ちの春 (婦多葉吟社) 本濱 幸湖 (南あわじ市)
さわやかな 真央の滑りは夢を乗せ (婦多葉吟社) 中川 桔梗 (南あわじ市)
小紫 篭いっぱいに昼さがり (婦多葉吟社) 中川 葵衣 (南あわじ市)
〈洲本美也古会〉
静かな棚田 照らす月影 中村 てん子
四方山話 炉端にぎわう 長手 さち代
子の心何色にでも親次第 野村 れい子
即答さけて 空気読む腹 野村 れい子
土産物 泣いて袋に甲子園 後藤 緑洲
《短 歌》
新月短歌社淡路支部(洲本市) (代表/谷池 さなえ 洲本市下内膳485‐1)
山の気を総身に溜めて山門の仁王はいまにも動くやに見ゆ 磯見 峯子 (南あわじ市)
なぜか今日夫に話してみたくなる母も知らない初恋のこと 久保田 浩子 (洲本市)
つゆ草のからみからむを刈り終へて花ひとにぎりつみてかへりぬ 高田 芳子 (洲本市)
二歳児にとり残されてべそをかくすいかの風船つくえにかくれ 竹田 富貴子 (洲本市)
リニューアルの遊園に嬉嬉と乗る子らの大観覧車ゆっくりまわる 田中 みえ子 (洲本市)
田の面に灸据うるごとそこかしこ煙りて静かに里の秋暮る 谷池 さなえ (洲本市)
干すだけの洗濯なれど大仕事なしたる思ひに喉を潤す 時安 都子 (洲本市)
コスモスの揺らげる小径急きゆけば徐々に冴えくる月の光は 中西 弘子 (洲本市)
再婚の話にゆれし日もありて今に思えば一瞬の虹 南部 清美 (洲本市)
歩いてるこの豊けさはと足弾む早苗田の水なみなみとして 沼田 茂子 (南あわじ市)
巡り合う皆既日食わたくしの八十歳の誕生日です 山本 弘子 (洲本市)
千鳥短歌会 (代表/日種 和子 南あわじ市津井2347番地)
泥の手を洗はむとせし池の面に覚へぬ媼の一人写れる 阿万野 洋子 (南あわじ市)
生業を掛けし宴に臨む夜は心で奏でる威風堂々 植地 晃太 (南あわじ市)
風が海鳴りを呼ぶ冬の夜は外食諦めうるめを焼きぬ 大鐘 稔彦 (南あわじ市)
天の川隔てて光る星のため今宵は三日月舟ともなれよ 亀井 美代子 (南あわじ市)
外は雨ほととぎすの花群れ咲きて独りの秋を彩りくれる 黒川 静惠 (南あわじ市)
仰ぎ見る星の中より真っ直ぐに青く光るを母とおもひぬ 小林 照代 (南あわじ市)
酒買ひに行きたそうなり雨の夜の瓦工場前の狸 品川 敬子 (南あわじ市)
はらはらと桜の病葉ちりゆくを夏の想いでも連れて行くがに 助島 美江 (南あわじ市)
農終へて日焼けた顔のその日から自然に溶けこむ光を放つ 高田 奈加子(南あわじ市)
花冷えの神社の庭にいつまでも散らずに咲ける今年のさくら 田原 富枝 (南あわじ市)
曾孫四人総勢十一人の里帰りお陰様でと思えば楽し 土井 桂子 (南あわじ市)
一世かけ肝の病ひに付き合ふと夫は通院のハンドル握る 日種 和子 (南あわじ市)
遠き日の住まひし街の影薄れ四季去来する一筋の道 前谷 節子 (南あわじ市)
遠き日に遊びし隣家の廃屋に柿の実りて秋を告げるも 前田 きくゑ (南あわじ市)
野良よりの帰りの道に手折りたる露草夜の食卓に挿す 宮本 率子 (南あわじ市)
想い出が痛くて胸に手を置いた永久に逢えないという悲しみ 山田 恵子 (南あわじ市)
サラダ歌人クラブ(洲本市) (代表/谷畑 恵 洲本市中川原町安坂31-3)
熱き茶と御飯に添えて仏壇の姑に声かけ今日が始まる 細川 恵子 (洲本市)
月光を浴びつつ確と歩まなむ十年待ちてなりし舗道に 前田 陽子 (洲本市)
敬老の花束贈られにっこりと男孫と並びフラッシュ浴びる 後藤 州衛 (洲本市)
晴れわたるかなたよりマーチ流れきて心うきうき旅にでようか 笹津 ちよみ (洲本市)
終戦の苦労乗り越へし夫婦鶴老ひし今も農に精出し 谷畑 恵 (洲本市)
縁台で観る立待月燗酒を妻には少しわれはほろ酔ひ 西田 正男 (洲本市)
石蕗の黄色い花がひとつづつ自己主張する墨の香と彩 東 雅山 (洲本市)
オレンジだと幼の指さす枝に光る柿の実 空はコバルトブルー 平野 慶子 (洲本市)
汐焚きて海女乙女らの唄ひけむ小さき入江の砂をふみゆく 荒浜 悦子 (洲本市)
久びさに訪ねしふるさと達者な兄は尺八吹きくれ癒やされてゆく 大下 和子 (洲本市)
亡き夫の育てし牛の仔 競市に出し眠れぬ夜半をこほろぎの鳴く 近藤 すま子 (洲本市)
《俳 句》
淡路若葉会(洲本市)(代表/久保 昌子 洲本市本町7-2-26)
どんと揚がる花火に揺れる淡路島 久保 昌子 (洲本市)
ちちははの墓ふところに山眠る 久保 英美 (洲本市)
病む母と一灯分つ夜長かな 三根 香南 (洲本市)
通草の実とろりと甘し父偲ぶ 上村 公代 (洲本市)
留守頼む夫に炊きたる零余子飯 増田 直美 (洲本市)
まなうらの草取る母の小さかり 物部 チエ (洲本市)
下萌になど目もくれず測量士 清水 みち (洲本市)
里人の守る祠の秋祭 松本 眞美 (洲本市)
苔むしろ厚き寺苑の石蕗の花 脇田 登志子(洲本市)
ひまはりの咲きグランドの静もれる 白川 洋子 (洲本市)
顔見世の三味の昴る恋路かな 谷 勝美 (洲本市)
古備前の壺に投入れ萩竜胆 武田 キヌエ (洲本市)
寄せつけぬ激しさ秘めて滝しぶく 高木 智念 (大阪市)
札所への径坂がかり彼岸花 植木 寛 (洲本市)
うぶすな俳句会(洲本市) (代表/高田 菲路 洲本市五色町鳥飼浦1586)
父の日の大きな朝日昇りけり 高田 菲路 (洲本市)
季節洲本俳句研究会(洲本市) (代表/居内 弘子 洲本市上物部2-9-4)
沈黙の森にとけ込む滝の音 居内 ひろ子 (洲本市)
南淡七曜俳句会(南あわじ市)(代表/稲山 忠利 南あわじ市北阿万筒井468)
虫しぐれ島のバス停木のベンチ 朝野 茂実 (南あわじ市)
飛入こみの容にはねて百舌の贄 稲山 忠利 (南あわじ市)
豊作の稲田鎮もる遠忌かな 榎本 純子 (南あわじ市)
青春と過せし街や城の月 江本 脩 (南あわじ市)
芭蕉句碑尋め往く寺や豊の秋(願海寺を訪ねて) 狩野 夏子 (南あわじ市)
琅玕の竹敷かれあり鉾の辻 喜田 明子 (南あわじ市)
秋天にひとつはぐれし雲のあり 藤堂 惇子 (南あわじ市)
消えかかる亡夫のくせ字や涅槃西風 仲山 治美 (南あわじ市)
新涼の妻の早める夕餉かな 橋本 武美 (南あわじ市)
ゆれそむる団栗独楽や大茜 林 育枝 (南あわじ市)
潮風に黄を深めゆく石蕗の花 原 茂美 (南あわじ市)
すだち採る鋏の音鳴り止まず 山崎 榮子 (南あわじ市)
青嵐吟社(南あわじ市) (代表/坂本 昌穂 南あわじ市倭文流383)
枯枝の南瓜孫が手を伸ばし 坂本 先峰 (南あわじ市)
《書 道》
ちどり書道クラブ(くらしの習字)(代表/小林 照代 南あわじ市潮美台2‐5‐9)
玉階の夜色涼しきこと水の如し臥して看る牽牛織女星 (唐・玉建) 堀 とも子 (南あわじ市)
鶴は宿る老松千載の色亀は潜む江漢萬尋の渕 (河野天籟) 黒田 恵美 (南あわじ市)
松葉正に秋にして琴韻響き蔆初めに暁けて鏡光寒し(唐・許渾) 山崎 貴志雄(南あわじ市)
松月夜涼を生じ風泉清聴に満つ (原田観峰) 中原 嘉久 (南あわじ市)
落木千山天遠大 澄江一道月分明 (宋・黄鷹堅) 別所 宮子 (南あわじ市)
鳥は山月を呼ぶ花間の影蝉は渓泉に和す竹裏の声 (清・胡睿) 登 ちづる (南あわじ市)
水鏡のごとく清し 鴻原 八重 (南あわじ市)
竹声松影(原田観峰) 浜田 沢子 (南あわじ市)
愛 (色紙) 竹谷 美代子(南あわじ市)
和 (色紙) 土井 桂子 (南あわ市)
第32回作品展 平成22年(2010)
《短 歌》
千鳥短歌会 (代表/日種 和子 南あわじ市津井2347番地)
数キロを離るる寺の鐘の音の澄みて響きぬ眉月の道 宮本 率子 (南あわじ市)
韓流の愛のドラマに魂あずけ老いを忘れて胸あたたむる 前谷 節子 (南あわじ市)
あれがないこれがないとさがしては言いあい笑える歳になりたい 助島 美江 (南あわじ市)
夕方五時遠き山に日は落ちて流れるメロディ手を休めきく 土井 桂子 (南あわじ市)
海人族の持ち来し赤米伝えられ伊毘谷いまも穂波はなやぐ 橋本 武美 (南あわじ市)
城山の樹々青葉してゆたかなりけふの受診にくすりまた増ゆ 小林 照代 (南あわじ市)
喧嘩して気まずいままは悲しいよ「何しているの・・・」と仲直りメール 北条 志津子(南あわじ市)
積雪とおりなす紅葉に包まれ歓声あがる大山の旅 田原 富枝 (南あわじ市)
凛とせる男を描ひて比類なし百田尚樹の「永遠のゼロ」 大鐘 稔彦 (南あわじ市)
歩幅よく夫に徒きゆく畑の道無農薬野菜を誉めて語らふ 高田 奈加子(南あわじ市)
夕焼けに競ひし柿の朱き実は山の暗さに溶けてゆきたり 亀井 美代子(南あわじ市)
みどりごの折に笑まふを囲みゐる人ら明るし夢を語りて 居内 初音 (南あわじ市)
泥の手を洗はむとせし池の面に覚へぬ媼の一人写れる 阿万野 洋子(南あわじ市)
離苦病苦混然とあり国勢の調査に巡る聞き取りの中 日種 和子 (南あわじ市)
新月短歌社淡路支部(洲本市)(代表/磯見 峯子 南あわじ市広田広田417-11)
わだかまり捨てよ流せよ秋の水落葉をのせて穏やかにゆく 中西 弘子 (洲本市)
鉢植えの尾花が下に紫の遠慮げにたつ南蛮煙管 尾崎 雪子 (洲本市)
学園にかよいし橋も古りてなく残る橋げた雪降りしきる 竹田 富貴子 (洲本市)
月の出を待ちいる浜に何処発の飛機か明るく空灯しゆく 田中 みえ子 (洲本市)
島の道東に向かへば山脈の親しき諭鶴羽み岳と呼びて 沼田 茂子 (南あわじ市)
別棟の鬼を払いし子や孫の賑わう声に夫と立ち上ぐ 太田 立子 (洲本市)
風にのり飛ぶを待ちゐむ種子のこし山寺のもみぢ紅を散り敷く 高田 芳子 (洲本市)
自らの決めごと少しゆるめつつ古希となりたり二〇一〇年 久保田 浩子 (洲本市)
あなた様はお久し振りとおっしゃるに名前浮かばず話を合わす 時安 都子 (洲本市)
清水の二年ざかゆく雨の中紅葉のさかり傘にかくるる 山本 弘子 (洲本市)
風りんの今にも音をたてそうな絵手紙つるし見る昼下がり 南部 清美 (洲本市)
ゆくりなく雨降り出だし平成の狐の嫁入りはじまるらしも 谷池 さなえ (洲本市)
さみしさは我のみならず昼の月薄紙のごと中空に浮く 磯見 峯子 (南あわじ市)
《俳 句》
淡路若葉会(洲本市)(代表/久保 昌子 洲本市本町7-2-26)
ふりかえる海の眩しき野水仙 久保 昌子 (洲本市)
観光馬もう来ず城の枯野道 久保 英美 (洲本市)
尼寺の俗世を隔つ白障子 三根 香南 (洲本市)
女手に守りし駄菓子屋冬灯 増田 直美 (洲本市)
銀杏散る島の市街の長からず 脇田 登志子(洲本市)
蜻蛉の子の手にじっと挟まれぬ 白川 洋子 (洲本市)
漁舟散らばる瀬戸の秋惜しむ 武田 キヌエ(洲本市)
淡路富士どっしり構へ冬に入る 高木 智念 (大阪市)
農繁期終へて安らぐ秋すだれ 植木 寛 (洲本市)
南淡七曜俳句会(南あわじ市)(代表/稲山 忠利 南あわじ市北阿万筒井468)
育苗の棚の下よりちちろなく 朝野 茂実 (南あわじ市)
落し水一鍬に切り放ちけり 稲山 忠利 (南あわじ市)
鯔飛ぶや太公望の竿の先 榎本 純子 (南あわじ市)
学舎のたそがれ白き藤の花 江本 脩 (南あわじ市)
草々と結ぶ手紙や露しとど 川野 欣一 (南あわじ市)
引き鴨や身を乗り出しに磯馴松 喜田 明子 (南あわじ市)
露の庭掃く箒目定まりぬ 欅田 小枝子 (南あわじ市)
野に出て天の高さに背伸びして 藤堂 惇子 (南あわじ市)
福笹のしなる宝に望みかけ 仲山 治美 (南あわじ市)
土蛙とべば瞬時に鷺狙ふ 橋本 武美 (南あわじ市)
枝豆のぷちりぷちりと皮を出で 林 育枝 (南あわじ市)
五百羅漢それぞれの影愁思かな 原 茂美 (南あわじ市)
葉鶏頭ちらりと見ゆるゆかしさよ 山崎 榮子 (南あわじ市)
秋深く心静かな散歩道 山田 禎子 (南あわじ市)
青嵐吟社(南あわじ市) (代表/坂本 昌穂 南あわじ市倭文流383)
猛暑避け 真夜中の月 畑仕事 坂本 先峰 (南あわじ市)
《雑 俳》
淡路雅交会 (代表/豊田 忠士 南あわじ市榎列小榎列256-2)
命のバトン 渡す孫出来 木下 泉涯 (南あわじ市)
井戸の蛙と 島で生き抜き 木田 棟曻 (南あわじ市)
上り坂 駆ける箱根路 旗の波 松崎 薫 (南あわじ市)
倦怠期 犬を抱く 奥様 薮田 台山 (南あわじ市)
静寂の庭 癒す水琴 北川 博仙 (南あわじ市)
マンション暮らし 好きに嫁生き 原田 紅梅 (南あわじ市)
ネクタイ外し 過疎で鍬振る 1藤本 房玉 (南あわじ市)
寄ってきて 句坐は余生の 面揃い 菅田 照児 (南あわじ市)
転職なんて 無理な御時世 栗林 恒林 (南あわじ市)
心豊かに 美しく老い 松崎 美与し (南あわじ市)
惜しむ阿久 瀬戸丘で 鐘鳴り 滝川 静馬 (南あわじ市)
訪れて 歓待受けた 妻の里 森下 治 (南あわじ市)
気品漂う 妃殿下の 歌心 福居 和子 (南あわじ市)
季節先読み 着飾ったウインドウ 北川 柚子 (南あわじ市)
命溶かして 沈む氷山 赤木 柿心 (南あわじ市)
狭い狭い 家でローンと 同居する 佐野 円 (南あわじ市)
真面目が取り柄 すまん不器用 出口 小町 (南あわじ市)
差し芽して 根付いた芽 花咲き 山岡 俊子 (南あわじ市)
同じチャンネル 別に見る 核家族 岡本 姿月 (南あわじ市)
真っ赤っか 夕日と競う黄櫨紅葉 大濱 悦子 (南あわじ市)
余分についた ロースだぶつき 樫原 幸源 (南あわじ市)
渦の鳴門は 俺がふるさと 谷田 岩男 (南あわじ市)
来て見れば 記念樹だけの母校跡 以頭 芙蓉 (南あわじ市)
慕われて 老師の庵人絶えず 樫本 静楽 (南あわじ市)
ひとり旅 放浪の画家傘背負い 前池 清泉 (南あわじ市)
妻の子育て エリートが夢 中川 桔梗 (南あわじ市)
芸 土着文化の灯を守り 西田 翆月 (南あわじ市)
国憂う 自民野党で 吠えまくり 東良 峰月 (南あわじ市)
世が世なら カネボウの名が島の顔 木下 雅松 (南あわじ市)
第33回作品展 平成23年(2011)
《雑 俳》
淡路雅交会 (代表/東良 重夫 南あわじ市北阿万筒井90‐7
ほのかな香り 落葉持ち上げ 樫本 静楽 (南あわじ市)
異郷で聞いた感動の君が代 以頭 芙蓉 (南あわじ市)
若返り 老舗が消える繁華街 東良 峰月 (南あわじ市)
才覚秘めて いつも裏方 中川 桔梗 (南あわじ市)
唱歌 時代をこえてうけつがれ 本濱 幸湖 (南あわじ市)
粋なこと十二単衣は和歌で恋 前池 清泉 (南あわじ市)
生涯の日々 喜寿に趣味あり 木下 雅松 (南あわじ市)
無駄話 これも近所のお付き合い 栗林 恒林 (南あわじ市)
漏れている怖い原子炉 故郷を捨て 薮田 台山 (南あわじ市)
捕手のサインに 首振って拒否 森下 おさむ(南あわじ市)
福井っ子 長年の芸継ぎ 木田 棟曻 (南あわじ市)
感謝の気持ち 花束にメモ添え 北川 柚子 (南あわじ市)
めきめきと 師匠の技を超える弟子 松崎 美与し(南あわじ市)
瓦礫の重み 復旧の目処立たず 山岡 十四子(南あわじ市)
待ちわびて 土に顔出す 蕗のとう 出口 小町 (南あわじ市)
一段と別嬪になり 孫二十歳 大濱 里雀 (南あわじ市)
バスツアー きみまろに爆笑 滝川 静馬 (南あわじ市)
自信あり 東大だけに賭ける絵馬 岡本 姿月 (南あわじ市)
漏れている 見えぬ恐怖の放射能 福居 和子 (南あわじ市)
熱い辛抱 させる節電 木下 泉涯 (南あわじ市)
戦力外が 意地見せる新天地 赤木 柿心 (南あわじ市)
余所観して パパママ探す遊戯会 福島 黄梅 (南あわじ市)
一段と 万里一空 綱目指し 樫原 幸源 (南あわじ市)
山々かすみ 穏やかな水墨画 北川 博仙 (南あわじ市)
再起の輪島 今日も朝市 松崎 薫 (南あわじ市)
《俳 句》
淡路風土俳句会(南あわじ市)(代表/正井 良徳 南あわじ市神代国衙614‐1)
渋滞の 果ては暮春の 鳴門橋 服部 達明 (南あわじ市)
季節洲本俳句研究会(洲本市)(代表/居内 弘子 洲本市上物部2‐9‐4)
夕映えを花野にひろげ絵の具とく 居内 ひろ子 (洲本市)
南淡七曜俳句会(南あわじ市)(代表/稲山 忠利 南あわじ市北阿万筒井468)
新若布鳴門の渦の潮香して 朝野 茂実 (南あわじ市)
龍宮へ渦潮に乗る初枕 稲山 忠利 (南あわじ市)
信号の角の交番花薄 榎本 純子 (南あわじ市)
秋桜や百万本の風そよぐ 奥井 京子 (南あわじ市)
はらからのランドセル 三つ 花芒 狩野 夏子 (南あわじ市)
琅玕の竹敷かれあり 鉾の辻 喜田 明子 (南あわじ市)
秋暑し 天井に陽の斑遊ばせて 欅田 小枝子(南あわじ市)
秋澄めり山門わきの釣瓶井戸 藤堂 惇子 (南あわじ市)
名も知らず拾ふ土産の木の実かな 仲山 治美 (南あわじ市)
朝涼や天まで届く指の先 林 育枝 (南あわじ市)
静けさや澄みて一樹の白露かな 原 茂美 (南あわじ市)
無花果は生ジャムいずれ笑さそう 山崎 榮子 (南あわじ市
淡路若葉会(洲本市)(代表/久保 昌子 洲本市本町7-2-26)
お棗の金の鶴舞ふ初茶の湯 久保 昌子 (洲本市)
石仏の慈眼まします梅ふふむ 久保 英美 (洲本市)
水軍の末裔たりし頬かむり 植木 寛 (洲本市)
結願の影をひきずり秋遍路 高木 智念 (大阪市)
門前に初商の団子売 増田 直美 (洲本市)
国生みの島に住み古り初日受く 三根 香南 (洲本市)
影冴ゆる杉の木立の行者堂 脇田 登志子(洲本市)
《短 歌》
サラダ歌人クラブ(洲本市)(代表/島田 英樹 洲本市中川原町三木田434)
下手だけど出展しようこの色紙 ONLYONEの花を咲かそう 荒浜 悦子 (洲本市)
青き田の水面におとす逆さ影何思ひきや白鷺佇む 池上 壽一 (洲本市)
赤々ともゆる炎に古都の浮く若草山に奈良の春見る 大下 和子 (洲本市)
春まじか小雨煙れる庭の紅梅つぼみに光る水滴の華 近藤 すま子(洲本市)
切々と母子のきずな朗々とだんじり唄がひしひし迫る 島田 英樹 (洲本市)
蝋梅の香りただようわが部屋に寒波去り春の到来を待つ 谷畑 惠山 (洲本市)
春が来る新しい気持巣立ちする生徒が無くて校舎が泣く 西田 正男 (洲本市)
忍びない寒さ厳しき被災地に瑞雲満ちる初富士をみゆ 東 雅山 (洲本市)
友の言う「川の流れに従いて」うなずく吾はゆるりと歩む 平野 静子 (洲本市)
忘れものとりに再三もどりくれば上目使いの老犬ジュリー 前田 陽子 (洲本市)
条件が見事に整い昿川を霧は一気に橋まで下る 細川 恵子 (洲本市)
千鳥短歌会 (代表/日種 和子 南あわじ市津井2347番地)
暗がりをまなこ光らせ横ぎりゆく猫はけものの気配まとひ 阿万野 洋子(南あわじ市)
車椅子に母乗せ走る病院へ雨も厭はずその子微笑む 居内 初音(南あわじ市)
北欧の美しき乳房持つ娘らも猿より進歩せしものなるや 大鐘 稔彦 (南あわじ市)
この先をどれほど迷惑掛けるやら嫁の車に主人の通院 亀井 美代子(南あわじ市)
紅葉葉の小枝ゆれ出づ静けさに夏うぐひすの一声透る 小林 照代 (南あわじ市)
魁夷の「道」好み見てゐた逝きし娘は今なほその道旅せむかひとり 高田 奈加子(南あわじ市)
友ら逝き今は三人となりし会八十路となりて間遠となりぬ 田原 富枝 (南あわじ市)
この星に人と生まれた幸せとこの国にうまれた事の幸運を 土井 桂子 (南あわじ市)
どの龍に望み託さむ賀状みな辰年立てよと背を押しくるる 日種 和子 (南あわじ市)
なんとなく只何となく不思議だわ君の思いが伝わってくる 北条 志津子(南あわじ市)
頻繁にラジオのぼたんに触れながら演歌に思ひ出重ねてゐたり 前谷 節子 (南あわじ市)
ダンボール巻きて暖とる被災者になほ雪は降る東北の地に 宮本 率子 (南あわじ市)
若松を活けて待つ春童来る天子の如く光振りまき 助島 美江 (南あわじ市)
新月短歌社淡路支部(洲本市)(代表/磯見 峯子 南あわじ市広田広田417-11)
水音のかすかに鳴りてなごり雪 解けゆく溝にも薄ら氷の張る 磯見 峯子 (南あわじ市)
何でやろ九十七にもなった今 ふっと気のつく蛸の虫偏 南部 清美 (洲本市)
一斉に漕ぎゆくオール光らせて川の復旧祝うレガッタ 田中 みえ子(洲本市)
形見なる明治の母の丸帯を締めてみたきよ母浮かばせて 田中 弘子 (洲本市)
さわやかに天地晴ればれ四方の山 秋の色なり燃えるがごとく 東 美恵子 (洲本市)
丘に立つ大観覧車よ見えるかい 子らの未来に確かな海が 谷池 さなえ(洲本市)
たんぽぽの黄にひかれきて朝の浜あちこち見まはすもうここは春 竹田 富貴子(洲本市)
この夏も自然の風を友としてダイニングルームは潤ひ溜り 沼田 茂子(南あわじ市)
風に散る最後のひと葉見届けて 木守の柿は百舌の餌になる 尾崎 雪子 (洲本市)
孫娘は左ききらし名を呼べば這い這いしつつ左手あげる 久保田 浩子(洲本市)
窓に寄り白梅ながむる我なれど 花も笑顔に我見ておりぬ 太田 立子 (洲本市)
東浦短歌会(淡路市) (代表/来田 務 淡路市久留麻1229‐5)
堂々の男の子たりしを君はまた何を買い来しその老人車 井上 みどり(淡路市)
遠ざかる船より見れば海の上に裾野をひきて利尻富士浮く 大木 津多代(淡路市)
さざんかで染めたスカーフ引き出しに仕舞いて春の訪れを待つ 大島 美代子(淡路市)
この池を忘れず来りし親子鴨 水輪いく重の中に泳げる 岡田 和子 (淡路市)
風花を手に受け走りくる孫を抱きしめたしと思う一瞬 小川 節美 (淡路市)
杳き日に夫と歩みし海岸に 若布は早も波にただよう 片山 田佳子(淡路市)
雀たち降る雪の中 七八羽 寒くないのかえさを求めて 木村 香代子(淡路市)
霜ふみて朝餉の野菜 前畑へ 手に息吹きて春をまたるる 砂田 皖子 (淡路市)
ようやくに雀帰りて賑わしく狭庭に春の息吹き満ちゆく 中野 靖子 (淡路市)
先代の思いは如何にと案じつつ百年住居の改修終わる 東根 千鶴子(淡路市)
はたはたの干物を送りくれし友 温泉町は大雪と言う 松岡 千世代(淡路市)
語りたきことの多くをのみ込みて 流れる雲をぼんやりと見る 山本 久子 (淡路市)
千両の実はたわわなりいつも来し小鳥は見えず家並み建ちゆく 来田 務 (淡路市)
第34回作品展 平成24年(2012)
《俳 句》
季節洲本俳句研究会(洲本市)(代表/居内 弘子 洲本市上物部2‐9‐4)
言葉はたどる遠き夕花野 居内 ひろ子 (洲本市)
淡路風土俳句会(南あわじ市)(代表/正井 良徳 南あわじ市神代国衙614‐1)
蛍狩り鹿も蛍を見に来るか 服部 達明 (南あわじ市)
身じろがぬ鮒釣る老人陽を選び 近藤 守 (南あわじ市)
木偶の目の妖しき光寒椿 山崎 潤子 (南あわじ市)
神鳴や鬼の喰ひし姫のゐて 久井 和秋 (南あわじ市)
夢で会う笑顔の妣に菊香る 樫木 育子 (南あわじ市)
孫帰り隙間風吹く老いの部屋 入谷 晋市 (南あわじ市)
墨書きの値札埋もるる秋刀魚かな 正井 香代子(南あわじ市)
小春日を玉葱植ゑにかかりきり 堤 千鶴子(南あわじ市)
短日や回り弁天負はれ行く 正井 良徳 (南あわじ市)
南淡七曜俳句会(南あわじ市)(代表/稲山 忠利 南あわじ市北阿万筒井468)
刈り残る一穂に朝の露光る 朝野 茂実 (南あわじ市)
足許に舟虫かくる渡しかな 稲山 忠利 (南あわじ市)
母校の名消えて三年文化の日 榎本 純子 (南あわじ市)
百日草百日咲きて色あせず 奥井 京子 (南あわじ市)
秋天やひときは高し金メダル 狩野 夏子 (南あわじ市)
言海に二十三夜の木の葉舟 喜田 明子 (南あわじ市)
唐突に咲き朽ちにけり曼珠沙華 欅田 柊子 (南あわじ市)
秋の日や二歳に挑む知恵比べ 竹内 直美 (南あわじ市)
石段の手摺のほこり秋暑し 藤堂 惇子 (南あわじ市)
名も知らず拾ふ土産の木の実かな 仲山 治美 (南あわじ市)
朝まだき石切参道萩くづる 林 育枝 (南あわじ市)
炎天下国道我が道トラクター 山崎 榮子 (南あわじ市)
淡路若葉会(洲本市)(代表/久保 昌子 洲本市本町7-2-26)
吉報はわが家にも来る星月夜 久保 昌子 (洲本市)
立冬や遠まなざしの大師像 久保 英美 (洲本市)
背伸して神の鈴振る七五三 三根 香南 (洲本市)
竹藪に音の募りて時雨来る 増田 直美 (洲本市)
名を呼ばれ返事頼もし七五三 脇田 登志子(洲本市)
天を掃く魔女のゐるかに秋の雲 植木 寛 (洲本市)
干し竿に丈不揃ひの吊し柿 松本 眞美 (洲本市)
秋麗の雲を退け淡路富士 高木 智念 (大阪市)
《雑 俳》
淡路雅交会 (代表/東良 重夫 南あわじ市北阿万筒井90‐7)
降り注ぎ揺れる藤あでやか 谷田 岩夫 (南あわじ市)
久しぶりあいさつ抜きの同い年 中川 桔梗 (南あわじ市)
国を変えるかなにわ旋風 以頭 芙蓉 (南あわじ市)
水墨の味魅せる床の間 樫本 静楽 (南あわじ市)
名月や筆一本を洗ひたる 前池 清泉 (南あわじ市)
小さな善意寄れば莫大 本濱 幸湖 (南あわじ市)
若返り老舗が消える繁華街 東良 峰月 (南あわじ市)
鱧と玉葱コンビ絶妙 樫原 幸源 (南あわじ市)
女 傘寿もそっと紅をさし 松崎 美与し(南あわじ市)
夫婦喧嘩一夜明ければ晴れる雲 福島 黄梅 (南あわじ市)
長はっぴいなせに羽織り輿行く 守本 かず子(南あわじ市)
霊峰富士を照らす夕焼け 北川 柚子 (南あわじ市)
海峡渦で鍛えた鳴戸鯉 栗林 恒林 (南あわじ市)
念を入れ磨いて木の根蘇生させ 西山 池月 (南あわじ市)
女 隠し上手で見せ上手 薮田 台山 (南あわじ市)
盛り場の灯に捨てるストレス 木下 泉涯 (南あわじ市)
動かぬ証拠首筋に紅 瀧川 静馬 (南あわじ市)
世界は一つ結ぶ祭典 松崎 薫 (南あわじ市)
貧乏神を蹴倒して福 森下 おさむ(南あわじ市)
音痴カラオケ粋な節あり 山岡 十四子(南あわじ市)
愚図愚図と布団出づらい今朝は霜 大濱 里雀 (南あわじ市)
気にかかり木偏に秋を探す辞書 赤木 柿心 (南あわじ市)
頑丈な連れ合い今も儂の杖 藤家 至 (南あわじ市)
どっしりと車窓に浮かぶ富の峰 福居 和子 (南あわじ市)
《短 歌》
東浦短歌会(淡路市) (代表/来田 務 淡路市久留麻1229‐5)
兄の忌を無事に終えたる庭先のつぶら紫式部藍深みゆく 松岡 千世代(淡路市)
中天に月朗々と輝きて藍に静まる夜空を開く 中野 靖子 (淡路市)
ゆうらりと魚とる舟浮かばせて釜口沖は今日もおだやか 大島 美代子(淡路市)
朝焼けはうすぎぬ紅く染めるがに海面も空もひとつになりぬ 片山 田佳子(淡路市)
また会える約束の日の儚さよ今日をカメラに残しさよなら 来田 務 (淡路市)
軒近く数を増しつつ舞うかもめこの曇天に丘は華やぐ 井上 みどり(淡路市)
明け方に生まれし仔牛はや立ちて母によりそい乳房さぐりぬ 砂田 皖子 (淡路市)
イキイキと年も忘れておしゃれして恥も忘れて百合の花さす 木村 香代子(淡路市)
今年また老木桜は一枝に数輪咲かすそれも色濃く 大木 津多代(淡路市)
忘れ物とどけてくれし息子の笑顔帰り行く姿角を曲りぬ 小林 三千代(淡路市)
この池を忘れず来りし親子鴨水輪いく重の中に泳げる 岡田 和子 (淡路市)
生きてゆく言葉身に染むこの今ぞ回復祈り師に文を書く 山本 久子 (淡路市)
満ちたりし現世の今と思えるに不意に寄せくる心の渇き 東根 千鶴子(淡路市)
サラダ歌人クラブ(洲本市) (代表/島田 英樹 洲本市中川原町三木田434)
ちりばめしサンゴは艶をたもちをり形見となりし母の髪ざし 荒浜 悦子 (洲本市)
我が儘が罷り通りて夕餉どきふと出るエゴも家族の証 池上 壽一 (洲本市)
見あげれば背高ノッポの木の上に冬の花火か皇帝ダリア 大下 和子 (洲本市)
花の中鳥とふれ合うリフレッシュ介護者同志心のいやし 後藤 州永 (洲本市)
篠山のイベント巡りポン栗を試食ほくほく晩秋の旅 近藤 すま子(洲本市)
〈晩鐘〉のモデルとなりし教会の尖塔遠くバスは過ぎゆく (バルビゾン) 島田 英樹 (洲本市)
長生きも子供孝行その為に農の合間に身体の手入れ 谷畑 惠山 (洲本市)
秋済て吾身の手入れ医者通い長々待ちて診察は三分 谷畑 惠山 (洲本市)
目尻下げ孫のため動く人を見て笑った我も人並に汗 西田 正男 (洲本市)
秋しぐれ日日朱味増す柿描き桔梗彩の墨 絵に残る 東 雅山 (洲本市)
夕焼けに高速バスは車窓染め吾がふるさとに上がる歓声 平野 慶子 (洲本市)
蜘蛛の糸切られてもなお張り直す細き道のりたゞ一筋に 平野 静子 (洲本市)
麻酔残る口で感謝を言う母の眠りにつくまで足揉みほぐす 細川 恵子 (洲本市)
枇杷色の稲穂が風にそよぐ時失いしものの大きさをしる 前田 陽子 (洲本市)
千鳥短歌会 (代表/山田 恵子 南あわじ市榎列大榎列751-5)
やはらかに日ざし溢れる縁側の姑のゐし場所に手を当ててみる 阿万野 洋子(南あわじ市)
その昔奈落の底にありしとき吾は出会ひぬ天野篤と 大鐘 稔彦 (南あわじ市)
だらしなき服と思へど若きらの着こなす様を羡しと見ゆる 亀 井 美代子(南あわじ市)
斑入り茅さらさら揺れるその根元共に生きゆく思草あり 亀井 良子 (南あわじ市)
朝の散歩ままならずして庭に下り木椅子に朝の生気をもらふ 小林 照代 (南あわじ市)
山里は黄色に染まり温泉の湯気の向こうに白き影ゆれ 助島 美江 (南あわじ市)
逢ひました喫茶「そわれ」で逢ひましたその後のふたりは「そわれ」のままに 高田 奈加子(南あわじ市)
茂吉の歌きざみし碑除幕され湊の丘に永久に語らむ 田原 富枝 (南あわじ市)
夏トマト最後の一つもぎとればはや無花果のうれそむるころ 土井 桂子 (南あわじ市)
〝敬老の日〟が誕生日の孫娘はたちの此の日は共に祝はむ 日種 和子 (南あわじ市)
懐メロを孤独に味はふ人生の甘さ苦さを心にてほぐす 前谷 節子 (南あわじ市)
地も人も焼きつくすがこの極暑高校球児のなほ逞しき 宮本 率子 (南あわじ市)
第35回作品展 平成25年(2013)
《雑 俳》
淡路雅交会 (代表/東良 重夫 南あわじ市北阿万筒井90‐7)
ほのかな香り 落葉持ち上げ 樫本 静楽(南あわじ市)
異郷で聞いた感動の君が代 以頭 芙蓉(南あわじ市)
若返り 老舗が消える繁華街 東良 峰月 (南あわじ市)
才覚秘めて いつも裏方 中川 桔梗 (南あわじ市)
唱歌 時代をこえてうけつがれ 本濱 幸湖(南あわじ市)
粋なこと十二単衣は和歌で恋 前池 清泉 (南あわじ市)
生涯の日々 喜寿に趣味あり 木下 雅松(南あわじ市)
無駄話 これも近所のお付き合い 栗林 恒林(南あわじ市)
漏れている怖い原子炉 故郷を捨て 薮田 台山(南あわじ市)
捕手のサインに 首振って拒否 森下 おさむ(南あわじ市)
福井っ子 長年の芸継ぎ 木田 棟曻 (南あわじ市)
感謝の気持ち 花束にメモ添え 北川 柚子 (南あわじ市)
めきめきと 師匠の技を超える弟子 松崎 美与し (南あわじ市)
瓦礫の重み 復旧の目処立たず 山岡 十四子(南あわじ市)
待ちわびて 土に顔出す 蕗のとう 出口 小町 (南あわじ市)
一段と別嬪になり 孫二十歳 大濱 里雀(南あわじ市)
バスツアー きみまろに爆笑 滝川 静馬(南あわじ市)
自信あり 東大だけに賭ける絵馬 岡本 姿月(南あわじ市)
漏れている 見えぬ恐怖の放射能 福居 和子(南あわじ市)
熱い辛抱 さえる節電 木下 泉涯 (南あわじ市)
戦力外が 意地見せる新天地 赤木 柿心(南あわじ市)
余所観して パパママ探す遊戯会 福島 黄梅(南あわじ市)
一段と 万里一空 綱目指し 樫原 幸源(南あわじ市)
山々かすみ 穏やかな水墨画 北川 博仙(南あわじ市)
再起の輪島 今日も朝市 松崎 薫 (南あわじ市)
《俳 句》
淡路風土俳句会(南あわじ市)(代表/正井 良徳 南あわじ市神代国衙614‐1)
渋滞の 果ては暮春の 鳴門橋 服部 達明(南あわじ市)
季節洲本俳句研究会(洲本市)(代表/居内 弘子 洲本市上物部2‐9‐4)
夕映えを花野にひろげ絵の具とく 居内 ひろ子(洲本市)
南淡七曜俳句会(南あわじ市)(代表/稲山 忠利 南あわじ市北阿万筒井468)
新若布鳴門の渦の潮香して 朝野 茂実 (南あわじ市)
龍宮へ渦潮に乗る初枕 稲山 忠利 (南あわじ市)
信号の角の交番花薄 榎本 純子 (南あわじ市)
秋桜や百万本の風そよぐ 奥井 京子(南あわじ市)
はらからのランドセル三つ花芒 狩野 夏子(南あわじ市)
琅玕の竹敷かれあり鉾の辻 喜田 明子 (南あわじ市)
秋暑し天井に陽の斑遊ばせて 欅田 小枝子(南あわじ市)
秋澄めり山門わきの釣瓶井戸 藤堂 惇子 (南あわじ市)
名も知らず拾ふ土産の木の実かな 仲山 治美 (南あわじ市)
朝涼や天まで届く指の先 林 育枝 (南あわじ市
静けさや澄みて一樹の白露かな 原 茂美 (南あわじ市)
無花果は生ジャムいずれ笑さそう 山崎 榮子 (南あわじ市)
淡路若葉会(洲本市)(代表/久保 昌子 洲本市本町7-2-26)
お棗の金の鶴舞ふ初茶の湯 久保 昌子 (洲本市)
石仏に慈眼まします梅ふふむ 久保 英美 (洲本市)
水軍の末裔たりし頬かむり 植木 寛 (洲本市)
結願の影をひきずり秋遍路 高木 智念 (大阪市)
門前に初商の団子売 増田 直美 (洲本市)
国生みの島に住み古り初日受く 三根 香南 (洲本市)
影冴ゆる杉の木立の行者堂 脇田 登志子(洲本市)
《短 歌》
サラダ歌人クラブ(洲本市) (代表/島田 英樹 洲本市中川原町三木田434)
下手だけど出展しようこの色紙 ONLYONEの花を咲かそう 荒浜 悦子(洲本市)
青き田の水面におとす逆さ影思ひきや白鷺佇む 池上 壽一(洲本市)
赤々ともゆる炎に古都の浮く若草山に奈良の春見る 大下 和子(洲本市)
春まじか小雨煙れる庭の紅梅つぼみに光る水滴の華 近藤 すま子(洲本市)
切々と母子のきずな朗々とだんじり唄がひしひし迫る 島田 英樹(洲本市)
蝋梅の香りただようわが部屋に寒波去り春の到来を待つ 谷畑 惠山(洲本市)
春が来る新しい気持巣立ちする生徒が無くて校舎が泣く 西田 正男(洲本市)
忍びない寒さ厳しき被災地に瑞雲満ちる初富士をみゆ 東 雅山(洲本市)
友の言う「川の流れに従いて」うなずく吾はゆるりと歩む 平野 静子(洲本市)
忘れものとりに再三もどりくれば上目使いの老犬ジュリー 前田 陽子(洲本市)
条件が見事に整い昿川を霧は一気に橋まで下る 細川 恵子(洲本市)
新月短歌社淡路支部(洲本市)(代表/磯見 峯子 南あわじ市広田広田417-11)
童らのだんじり唄に胸詰まる 人の情けの真髄語る 磯見 峯子 (南あわじ市)
千鳥短歌会 (代表/日種 和子 南あわじ市津井2347番地
暗がりをまなこ光らせ横ぎりゆく猫はけものの気配まとひ 阿万野 洋子(南あわじ市)
車椅子に母乗せ走る病院へ雨も厭はずその子微笑む 居内 初音(南あわじ市)
北欧の美しき乳房持つ娘らも猿よりせしものなるや 大鐘 稔彦 (南あわじ市)
この先をどれほど迷惑掛けるやら嫁の車に主人の通院 亀井 美代子(南あわじ市)
紅葉葉の小枝ゆれ出ず静けさに夏うぐひすの一声透る 小林 照代 (南あわじ市)
魁夷の「道」好み見てゐた逝きし娘は今なほその道旅せむかひとり 高田 奈加子(南あわじ市)
友ら逝き今は三人となりし会八十路となりて間遠となりぬ 田原 富枝 (南あわじ市)
この星に人と生まれた幸せとこの国におまれた事の幸運を 土井 桂子 (南あわじ市)
どの龍に望み託さむ賀状みな辰年立てよと背を押しくるる 日種 和子 (南あわじ市)
なんとなく只何となく不思議だわ君の思いが伝わってくる 北条 志津子(南あわじ市)
頻繁にラジオのぼたんに触れながら演歌に思ひ出重ねてゐたり 前谷 節子 (南あわじ市)
ダンボール巻きて暖とる被災者になほ雪は降る東北の地に 宮本 率子 (南あわじ市)
若松を活けて待つ春童来る天子の如く光振りまき 助島 美江 (南あわじ市)
青嵐吟社(南あわじ市) (代表/坂本 昌穂 南あわじ市倭文流383)
猛暑避け 真夜中の月 畑仕事 坂本 先峰 (南あわじ市)
第36回作品展 平成26年(2014)
《雑 俳》
淡路雅交会(南あわじ市) (代表/東良 重夫 南あわじ市北阿万筒井90‐7)
生き生きと 学ぶ子供に見る未来 倉本 圭山 (南あわじ市)
七福神は 島のドル箱 森下 おさむ(南あわじ市)
初陣が 校歌聞く 感激 薮田 台山 (南あわじ市)
昔むかし 家族雑魚寝で蚊帳の中 瀧川 静馬 (南あわじ市)
落ちるはずない 棚の牡丹餅 樫原 幸源 (南あわじ市)
遠まわし それもしかしてプロポーズ 大濱 里雀 (南あわじ市)
良い経験と 許す失敗 森崎 ホタル (南あわじ市)
ルンルン 大臣室でする化粧 赤木 柿心 (南あわじ市)
スマホの中に 魔物ぞろぞろ 福島 黄梅 (南あわじ市)
和食 味も作法も奥深い 中川 桔梗 (南あわじ市)
のめり込み 別棟建てるコレクション 東良 峰月 (南あわじ市)
鳴門を指呼に 夕焼けて 戸崎暮れ 樫本 静楽 (南あわじ市)
和食 世界遺産へ笑みこぼれ 本濱 幸湖 (南あわじ市)
通せんぼ 救助を阻む土砂崩れ 以頭 芙蓉 (南あわじ市)
賑やかに 田毎の月に曼珠沙華 中川 葵衣 (南あわじ市)
腕 流石国宝揆が冴え 谷田 岩夫 (南あわじ市)
《俳 句》
南淡七曜俳句会(南あわじ市)(代表/稲山 忠利 南あわじ市北阿万筒井468)
落葉踏む人それぞれに違ふ音 朝野 茂美 (南あわじ市)
鳥渡るおなじ形の兵の墓 稲山 忠利 (南あわじ市)
白寿祝ぐ母にメロンの一掬ひ 榎本 純子 (南あわじ市)
蟷螂の老いて前足うしなへる 奥井 京子 (南あわじ市)
舗道まで被さり重るる花薄 狩野 夏子 (南あわじ市)
岩が根の吉祥草に斜めの陽 喜田 明子 (南あわじ市)
秋思かな拝観券の栞落つ 欅田 柊子 (南あわじ市)
竜胆や白寿と名付けられて居り 竹内 直美 (南あわじ市)
白無垢の読経響くや秋の寺 堤 千鶴子 (南あわじ市)
髪染めてあそび心や女郎花 藤堂 惇子 (南あわじ市)
豊穣のもみすり終へる深きしわ 仲山 治美 (南あわじ市)
孔子廟から傳来の紅葉撫づ 林 育枝 (南あわじ市)
人だかりする初秋刀魚煙らせて 山崎 榮子 (南あわじ市)
淡路風土俳句会(南あわじ市)(代表/正井 良徳 南あわじ市神代国衙614‐1)
悠悠と白菊黄菊米寿かな 近藤 守 (南あわじ市)
風通る道あり稲の青動く 正井 香代子(南あわじ市)
母逝きて五十余年や冬茜 堤 千鶴子(南あわじ市)
雨やみて白き香りの富貴蘭 原 博美 (南あわじ市)
青空を皇帝ダリアひとり占め 樫木 育子 (南あわじ市)
領海の侵犯ニュース鵙猛る 正井 良徳 (南あわじ市)
淡路若葉会(洲本市)(代表/久保 英美 洲本市本町8-5-15)
ちちははの墓ふところに山眠る 久保 英美 (洲本市)
秋麗の埴輪のまなこ童女めく 三根 香南 (洲本市)
山里の暮しにも馴れ芋茎干す 増田 直美 (洲本市)
瀬戸暮れて田仕舞ふ棚田煙立つ 植木 寛 (洲本市)
尼寺の山門粧ふ濃紅葉 脇田 登志子(洲本市)
もつれ合ひ草に触れゆく秋の蝶 松本 眞美 (洲本市)
修二会僧五体投地の紙衣裂く 高木 智念 (大阪市)
《短 歌》
千鳥短歌会(南あわじ市) (代表/山田 恵子 南あわじ市榎列大榎列751-5)
叶ふなきわが夢ひとつはるかなるアルハンブラの城に立ちたし 阿万野 洋子(南あわじ市)
窓通しライト三本夕暗にみごとに灯る杏の枝に 居内 初音 (南あわじ市)
その昔吾の取材に来る婦人記者苦節十余年医院を開けり 大鐘 稔彦 (南あわじ市)
ビロードの赤き肩掛に咲く牡丹嫁ぎしままの艶未だ持つ 亀井 美代子(南あわじ市)
言葉より溢れ来るものあるうちは長くは話せず亡き父のこと 亀井 良子 (南あわじ市)
落石と熊出没の看板に行こか戻ろかスマホに問いぬ 喜田 久美子(南あわじ市)
うぐひすなく音ふた声三声きく新緑層なす山路たどれば 小林 照代 (南あわじ市)
魔法のごと呪文がとける診察室窓の外には青田ひろがる 助島 美江 (南あわじ市)
受け皿にカップ戻せば小さき音胸まで届きて珈琲味わう 平 啓子 (南あわじ市)
開きたる本の上にて居眠りす覚めればページに“水”沈みており 高田 奈加子(洲本市)
宵宮にだんじり練り来て吾が庭を踏み固めたり頭家のめでたさ 田原 冨枝 (南あわじ市)
陽をうけて風にそよげる赤芽ガシ真紅の輝きいよいよ盛る 土井 桂子 (南あわじ市)
秋ふかむ一日色ます野ぼたんにこころあずけて土おこしゆく 日種 和子 (南あわじ市)
蜩の声を聞きつつ初秋の風にいただく五感の清涼 前谷 節子 (南あわじ市)
今すぐに母に伝えたい一言を蝉しぐれふく田舎道はずむ 北条 志津子(南あわじ市)
天空に父と母は遊びしか働くのみの一生なりき 宮本 率子 (南あわじ市)
寂しさは人混みの中に兆したり種に翼を持つ百日紅 山田 恵子 (南あわじ市)
新月短歌社淡路支部(洲本市)(代表/谷池 さなえ 洲本市下内膳485‐1)
むらさきに暮れなずむ空一瞬の華やぎみせて闇迫りくる 磯見 峯子(南あわじ市)
汗ぬぐう身に涼風まとい来て真夏のスポーツ心地よきとき 太田 立子(洲本市)
一年を無事すごせし感謝して灯明ともす大晦日の夜 竹田 富貴子(洲本市)
纜を解きパイロット船すべるがに洋ようといま港出でゆく 田中 みえ子(洲本市)
眉根やさしき石の地蔵に会いたくて傘さしてゆく彼岸花の道 谷池 さなえ(洲本市)
秋ふかく彩鮮やかな紅葉をば清水の舞台より眺めなん 谷畑 恵山(洲本市)
一点の雲なき空へ後光さし光あまねき十五夜の月 中西 弘子(洲本市)
とび上がり桜の花にふれんとすテレビの少女にすぎし日のたつ 南部 清美(洲本市)
群青は遥かの彼方届かない残るる今あるがままにて 沼田 茂子(南あわじ市)
まだまだと二本の杖にたより来て秋の陽沈むまでの頑張り 山本 弘子(洲本市)
サラダ歌人クラブ(洲本市)(代表/島田 英樹 洲本市中川原町三木田434)
昇る陽のかゞよひあびて手を合わす吾にやさしき詩の生れかし 荒浜 悦子(洲本市)
天麩羅と外の具たちも口揃え主役はあなたよ蕎麦に向かって 池上 壽一(洲本市)
一人農に真夜の大あめの目をこすり稲田みまわりライト片手に 近藤 すま子(洲本市)
音もなく舞ひ落ちてくる楓葉の錦おりなし木のもと埋む 島田 英樹(洲本市)
梅雨はれま白いどれすに身を包みじゃあねと言ひて嫁ぐわが娘よ 内藤 晶子(洲本市)
どこまでも青空高くどこまでも舞ひあがりゆく二つの蝶々 東 雅山(洲本市)
楽しみは台風直撃受けながら踏ん張る野菜の手入れするとき 細川 恵子(洲本市)
二度の冠水にも耐え老夫婦は砂にまみれし稲を刈りゆく 前田 陽子(洲本市)
あわじ島歌人クラブ(南あわじ市)(代表/清水 昭男 南あわじ市伊加利1062)
群青の空に聳える神籠石秋風立ちて蝉時雨振る 東田 壽美子(洲本市)
逢った後心ひかれてまた戻る祇園の料亭招きの猫は 大村 博子(洲本市)
休耕の田に生い茂る草花に詫びを言いつゝ刈り取ってをり 上山 照香(洲本市)
児のねむる風鈴の音は子守唄里の静けさ老鶯の声 小林 光子(淡路市)
ふるさとの荒れゆく庭に紫のクレマチス咲く蔓からませて 酒部 啓子(南あわじ市)
霜の朝波紋拡げて往く鴨の胸羽に円く春を抱けり 清水 昭男(南あわじ市)
ふるさとの豪雨を見舞う弟の優しき電話父その中に 杉山 正範(洲本市)
広島の廃墟の街にいちはやく夾竹桃の白咲きしとふ 木下 昭美(南あわじ市)
親というゴールなき旅夫となら海山越えて共に歩まん 山形 晃葩(久美子・淡路市)
喜寿祝ふ集ひ果せず逝きし師のみ魂にささぐ 黄菊しら菊 荒浜 悦子(洲本市)
戦禍堪え芋麦作る同窓のあの日想いて八十の途ゆく 星野 泰山(山口泰志・淡路市)
第37回作品展 平成27年(2015)
《漢 詩》
ホトトギス同人(日本伝統俳句協会)(洲本市)(代表/高田 菲路 洲本市五色町鳥飼浦1586)
漢詩
讃・高田屋嘉兵衛翁(七言絶句) 高田 菲路 (洲本市)
《俳 句》
淡路風土俳句会(南あわじ市)(代表/正井 良徳 南あわじ市神代国衙614‐1)
国生みの神話聴く子の目に青葉 服部 達明 (南あわじ市)
柿一葉細き径越え動かざる 近藤 守 (南あわじ市)
コンバイン動かす嫁の薄化粧 入谷 晋市 (南あわじ市)
金沢や空から謡春の暮れ 久井 知秋 (南あわじ市)
墨書きの値札埋もるる秋刀魚かな 正井 香代子 (南あわじ市)
木偶の目妖しき光寒椿 山崎 潤子 (南あわじ市)
柿熟るる枝先竿の届かざる 堤 千鶴子 (南あわじ市)
秋風やあれこれそれと老二人 金山 悦子 (南あわじ市)
葉に葉影無花果熟れて空青し 原 博美 (南あわじ市)
秋夕日駒ヶ根の峰染めにけり 樫木 育子 (南あわじ市)
鰯雲不漁を託つ島訛 正井 良徳 (南あわじ市)
南淡七曜俳句会 (南あわじ市)(代表/稲山 忠利 南あわじ市北阿万筒井468)
こぼれ萩掘割に漕ぐ船頭唄 浅野 茂美 (南あわじ市)
耕して雀からすの他しらず 稲山 忠利 (南あわじ市)
濡れてゐる寺の大屋根望の月 榎本 純子 (南あわじ市)
瀬の音に話とられて納涼をり 奥井 京子 (南あわじ市)
ぶつかりもせず縦横に秋あかね 狩野 夏子 (南あわじ市)
木の実降る牧牛じっと雲を見て 喜田 明子 (南あわじ市)
紅葉濡る杖の滑りて仁王門 欅田 柊子 (南あわじ市)
箱詰めの林檎香し津軽便 堤 千鶴子 (南あわじ市)
糸とんぼ群れて峠のそば処 藤堂 淳子 (南あわじ市)
夏草に混じるミントの香を折りし 林 育枝 (南あわじ市)
お隣りのをとめ来て佇つ芙蓉かな 山崎 榮子 (南あわじ市)
淡路若葉会 (洲本市)(代表/久保 英美 洲本市本町8-5-15)
生きてゐることしみじみと木の葉髪 久保 英美 (洲本市)
秋うらら駆引き楽し蚤の市 植木 寛 (洲本市)
亡き妻の表札掛かり秋灯 瀧埜 修 (淡路市)
初鴨や隠池に影安らへり 増田 直美 (洲本市)
友帰りひとり聴きゐる虫の声 津司 晴美 (洲本市)
群れのもつ見えぬ力や鳥渡る 高木 智念 (大阪市)
旅にして祀るものなき後の月 三根 香南 (洲本市)
オリオンに導かれゆく秋の航 桶谷 京子 (洲本市)
あわじ島句会 (洲本市) (代表/三根 香南 洲本市物部1‐16‐50)
山あいの十戸の村の池普請 鬼本 英太郎 (神戸市)
時雨雲傘しのばせて旅の空 大継 淳子 (洲本市)
瀬戸内の海先集め蜜柑山 片山 紀子 (南あわじ市)
秋深し立ち止まること多かりき 木下 圭子 (洲本市)
茶席あり生田の宮の七五三 高津 信子 (洲本市)
山里の鹿除けの柵小鳥来る 小谷 恵美子 (洲本市)
文豪のゆかりの宿や枇杷の花 長手 幸代 (洲本市)
神無月墨の香りの御朱印帳 森 敦子 (洲本市)
宮柱汐満ちて来し神無月 山岡 仁美子 (洲本市)
家路急ぐ子と仰ぎ見る星月夜 横井 香織 (洲本市)
お十夜や問はず語りに母のこと 三根 香南 (洲本市)
《雑 俳》
淡路雅交会 (南あわじ市) (代表/東良 重夫 南あわじ市北阿万筒井90‐7)
化粧濃く 向から婚活 偽装団 薮田 台山 (南あわじ市)
尻に敷かれて お家安泰 樫原 幸源 (南あわじ市)
年下 女子アナが釣る 出世魚 赤木 柿心 (南あわじ市)
ひらひらと 桜吹雪へ 獅子の舞 松崎 美与し (南あわじ市)
利用され 車売るなら 米を買え 栗林 恒林 (南あわじ市)
八〇二〇 鯣かめるぞ 森下 おさむ (南あわじ市)
山紫水明 究極の過疎 北川 博仙 (南あわじ市)
こうのとり 宇宙への宅配 北川 柚子 (南あわじ市)
伸びる打球へ マイク絶叫 福居 輪子 (南あわじ市)
宇宙へ飛ばす はやぶさで 探る謎 森崎 ホタル (南あわじ市)
せまいせまい 車庫入れ 見事馴れと勘 東良 峰月 (南あわじ市)
今が見頃と 脱がす写真家 谷田 岩夫 (南あわじ市)
だんだんと 空き家が増える 過疎の村 樫本 静楽 (南あわじ市)
美菜恋来屋 ネーム客引く 中川 息吹 (南あわじ市)
ぬりかえて 威厳が増した 天守閣 本濱 幸湖 (南あわじ市)
暮らしに花を にじむ幸せ 中川 桔梗 (南あわじ市)
見せられて 老の御公務 案じます 中川 葵衣 (南あわじ市)
味ある言葉 年が語らせ 以頭 芙蓉 (南あわじ市)
憎い人 さりげなく聞く 指サイズ 倉本 圭山 (南あわじ市)
《短 歌》
東浦短歌会 (淡路市) (代表/片山 田佳子 淡路市久留麻2346‐6)
窓を打つ雨の音にも嬉しかり稲刈りすんだ稲抜きすんだ 小林 三千代 (淡路市)
露天風呂を浮かべて遊ぶ孫に「楽しいかい?」と時折の風 大木 津多代 (淡路市)
夕暮れて季節は秋へと移る日の蔓の葉かげに夕顔の白 大島 美代子 (淡路市)
声高になっとなっととコールして元気な孫の朝餉はじまる 中野 靖子 (淡路市)
島の影沖へ沖へと伸びてゆきのり篊張る人急がされている 来田 務 (淡路市)
知り得ざる事多かりし七十年進み行く世に匙なげており 東根 千鶴子 (淡路市)
桟橋に島のことばの交りおり彼岸花照るここがふる里 小川 節美 (明石市)
うすものの一枚のあたたかさうなじに巻きて玉葱植える 砂田 晧子 (淡路市)
縛られることなく生きる身になりぬ過ぎ来し日日を良きこととして 山本 久子 (淡路市)
桜吹雪舞いゆく中のひとひらは夫の化身か肩にのこりぬ 片山 田佳子 (淡路市)
新月短歌社淡路支部 (洲本市) (代表/谷池 さなえ 洲本市下内膳485‐1)
今更にしてみたき事に思い馳せ拙き夢追う老いの戯言 東 美恵子 (洲本市)
忘れいし洋楽のふとよみがえる埋み火の如煌めく記憶 磯見 峯子 (南あわじ市)
白内障手術無事終え帰る道ただちに見えくる我が家に安堵 太田 立子 (洲本市)
まろき背の並びて過ぐる散歩道ちちははは思ふ秋の夕ぐれ 尾崎 雪子 (洲本市)
いつよりか蜻蛉飛び交い台風も次々生るる秋の訪れ 金田 順子 (洲本市)
観月の友ら帰りてぽつねんと仰げば更に遠く澄みゆく 川端 美智子 (洲本市)
わが里に秋あふれ咲く曼珠沙華 父に添ひたる母あかあかと 島田 英樹 (洲本市)
老いに重き夫の残しし広辞苑うた詠む吾の宝ひとつ 竹田 富貴子 (洲本市)
夕焼けの鰯ぐも背に北斎の富士に見紛う我らの先山 谷池 さなえ (洲本市)
喜寿越えて八十路の坂へさしかかり出合いし人の温もりに謝す 谷畑 恵山 (洲本市)
たっぷりと虫除け入れてまたの日を願いて仕舞う春のブラウス 南部 清美 (洲本市)
うちあふぐ風のやさしく暑気はらふ暮す水無月健やかにして 沼田 茂子 (南あわじ市)
千鳥短歌会 (南あわじ市)(代表/山田 恵子 南あわじ市榎列大榎列751-5)
餞別の言葉の意味も教えやる修学旅行へ発つ少年に 阿万野 洋子(南あわじ市)
連山とみまかふばかりの白き雲雨やみし午後われの行く手に 居内 初音 (南あわじ市)
蝿一匹殺すなと言ひしシュヴァイツァーの “生命の畏敬”年経て首肯す 大鐘 稔彦 (南あわじ市)
群青の海を掬ひて発つ鷺の足に引く水白く光れり 亀井 美代子 (南あわじ市)
木々たちの春待つ息吹が見えてくる霞の中を上へ上へと 亀井 良子 (南あわじ市)
覚えたてのひらがな読んでかるた取り取り手に指名じいじとばあば 喜田 久美子 (南あわじ市)
ふたたびは見ることなけむ糠雨にぬれて逢ひにし西行桜 小林 照代 (南あわじ市)
もう一歩踏み出せぬ吾になるようになるとあなたは思わせてくれたり 助島 美江 (南あわじ市)
水瓶座と魚座のさかいに生れきて星占いは両方を見る 平 啓子 (南あわじ市)
昼下がり大鹿のそりとあらわれてふり向きてゆく秋のわが庭 高田 奈加子 (洲本市)
法要に集いしうからら墓前にて亡き夫偲ぶ葉月の空に 田原 冨枝 (南あわじ市)
この仔牛仰向けにねて腹を出すいびきもかいて大物なりき 土井 桂子 (南あわじ市)
子に孫に歌いし母の子守歌「天満橋から・・・」何処へいったの 日種 和子 (南あわじ市)
ちゃん付けで名前呼ばれし春の宵恋でなくても心は弾む 北条 志津子 (南あわじ市)
懐かしきコーヒーなれど名は知らず吾を麻痺さす究極の香よ 前谷 節子 (南あわじ市)
山裾の稲刈り終えて帰るさの溝に二匹の蛍光りぬ 宮本 率子 (南あわじ市)
だんじりの太鼓は君に聞こえるか病室からは空しか見えず 山田 恵子 (南あわじ市)
あわじ島歌人クラブ(南あわじ市)(代表/清水 昭男 南あわじ市伊加利1062)
愛用の団扇に泳ぐ金魚達すいすいと涼風送る 酒部 啓子 (南あわじ市)
老いの身を試めし膝まで潮騒としばし戯る我も海の子 杉山 正範 (洲本市)
蒼き海松帆の浦に千鳥まふ秋の調べを伝ふ松風 山口 泰志 (淡路市)
じいさまの納屋にて棄ておき草刈り刃真似て握るといまも現役 徳田 紫惟 (淡路市)
遠き日に子を眠らせし島唄をうたへばみどり児まどろみてゆく 荒浜 悦子 (洲本市)
鼓笛隊の緊張解けて弾けたる芝生広場の子らの笑顔よ 大村 博子 (洲本市)
六十年蒼き閃光を押し畳み鍛冶の親父の汗輝きぬ 清水 昭男 (南あわじ市)
汐騒の響聞きつつ海峡の大渦に向けシャッターを切る 東田 壽美子 (洲本市)
サラダ歌人クラブ (洲本市)(代表/島田 英樹 洲本市中川原町三木田434)
まぼろしに水車の廻る音きこゆ涸れし川原に群れ咲く野菊 荒浜 悦子 (洲本市)
あかねさす紅葉の峡に庵見ゆ訪ね人なく静まりて淋し 池上 壽一 (洲本市)
あかいろのファーストシューズはいたままろうそく一本じょうずにフ―フ― 笹津 ちよみ (洲本市)
秋深きカフェのテラスに独りティー ジローの♪枯葉よー♪流れくる午後 島田 英樹 (洲本市)
すぐ先に成が島ありと思へども泳ぎ向かへば流され着かず 内藤 晶子 (洲本市)
明兆童子の頭を撫でて日々歩つつそを吾が拠 生きてをるなり 東 雅山 (洲本市)
点点と休耕田に稲のあり穂の垂れおれば草刈機そらす 前田 陽子 (洲本市)
第38回作品展 平成28年(2016)
《雑 俳》
淡路雅交会 (南あわじ市) (代表/東良 重夫 南あわじ市北阿万筒井90‐7)
贈りもの リボンの色に又悩み 大濱 星雀 (南あわじ市)
無理やりに脱がせて洗う親心 西山 池月 (南あわじ市)
老令化 孤舟に乗せる趣味一つ 守本 泉心 (南あわじ市)
イルミネーション 人を吸いよせ 福島 黄梅 (南あわじ市)
供養永代 少子化で人気呼び 小濱 志月 (南あわじ市)
弾む鞄に 一杯の夢 北川 博仙 (南あわじ市)
予定外 趣味の世話して 出来ぬ趣味 薮田 台山 (南あわじ市)
利口者 天下り先決めて辞め 栗林 恒林 (南あわじ市)
動き出し 幸福の腹撫で 東良 峰月 (南あわじ市)
変わらない 知ってるはずが期待する 倉本 圭山 (南あわじ市)
高い高い 理想追いかけまだ独り 本濱 幸湖 (南あわじ市)
吟味して 杜氏の舌が銘酒生み 以頭 芙蓉 (南あわじ市)
初冠雪の富士が絵になり 樫本 静楽 (南あわじ市)
絵画の様に 名月が浮き 谷田 岩夫 (南あわじ市)
人並みに これがなかなか難かしい 中川 桔梗 (南あわじ市)
結婚し こうのとり待つ里の親 中川 息吹 (南あわじ市)
みずぐし柚子の滴をキュット掛け 中川 葵衣 (南あわじ市)
《俳 句》
淡路風土俳句会 (南あわじ市)(代表/正井 良徳 南あわじ市神代国衙614‐1)
大渦へ片手拝みの秋遍路 野尻 しげを (洲本市)
空蝉を指にさしたる子の笑顔 金山 悦子 (南あわじ市)
小ぶりでも紫紺深むや秋茄子 堤 千鶴子 (南あわじ市)
黄金の荻の穂波のさやぎをり 久井 知秋 (南あわじ市)
蝉時雨ふと止み間あり午睡覚む 服部 達明 (南あわじ市)
外に出でてどこか母居る良夜哉 岩本 孝之 (淡路市)
さりげなく言った言葉に秋深む 近藤 守 (南あわじ市)
枯葉散るイブモンタンの曲流れ 山崎 潤子 (南あわじ市)
深まりゆく秋の風情を感じつゝ 船越 敬子 (洲本市)
喜寿の坂のぼりて残暑凌ぎをり 入谷 晋市 (南あわじ市)
月の色受けてとどめし芋の露 原 博美 (南あわじ市)
太文字のおでんの幟高々と 正井 香代子 (南あわじ市)
騎馬戦は下ばかりだと笑う孫 樫木 育子 (南あわじ市)
凍蝶や脆きこころの十五歳 正井 良徳 (南あわじ市)
岩屋句会 (淡路市) (代表/大星 たかし 淡路市岩屋345)
喜望峰回る航路や卯浪立つ 吉田 碧舟 (淡路市)
芒原ふとかくれんぼしてみたく 大星 たかし (淡路市)
風神と戯れてをり花すゝき 田尻 洋子 (淡路市)
白も赤も一重も八重も椿咲く 前川 勝 (淡路市)
海渡りゆくは帰燕の群ならむ 畑 美代子 (淡路市)
長崎の鐘の語り部見ぞ入む 福田 早江子 (淡路市)
方言に馴染みて住めリ文化の日 田島 ひで子 (淡路市)
門川を鯉の行き交ふ秋気かな 土井 幸子 (明石市)
砲台跡残る高きに登りけり 萩原 万喜子 (淡路市)
引き取りし母に秋の灯明るうす 平松 文子 (淡路市)
南淡七曜俳句会 (南あわじ市)(代表/稲山 忠利 南あわじ市北阿万筒井468)
去ぬつばめ黒ポリマルチ田を覆ふ 稲山 忠利 (南あわじ市)
頣を鍬の柄尻に萩の風 榎本 純子 (南あわじ市)
文化の日腕白聖書を貰て来し 狩野 夏子 (南あわじ市)
源氏読むいつより虫の絶えしかな 喜田 明子 (南あわじ市)
ずっしりと橦木綱垂る照紅葉 欅田 柊子 (南あわじ市)
ポケットの団栗を出し洗濯す 竹内 直美 (南あわじ市)
消えてゆく大空広し鰯雲 谷先 輝彦 (南あわじ市)
新米と朱文字大きく貼りつけり 堤 千鶴子 (南あわじ市)
父母もなしふるさと遠く盆の月 藤堂 淳子 (南あわじ市)
カプチーノよりおしゃべりな秋桜 林 育枝 (南あわじ市)
蓼の花道ぞいに咲きたたずみて 山崎 榮子 (南あわじ市)
あわじ島句会 (洲本市)(代表/三根 香南 洲本市物部1‐16‐50)
立ち昇る霧に薄日の秋吉台 大継 淳子 (洲本市)
身に沁むや母を見舞ひて夜汽車待つ 鬼本 英太郎 (神戸市)
尼寺を訪へば紅葉に薄日さし 木下 圭子 (洲本市)
深山路の瀬川彩る初紅葉 小谷 恵美子 (洲本市)
阿吽の山門覆ふ薄紅葉 長手 幸代 (洲本市)
拾つても拾つてもなほ木の実降る 三原 聡子 (洲本市)
早紅葉や木肌の仁王吽といふ 森 敦子 (洲本市)
この島に余生をゆだね石蕗の花 山岡 仁美子 (洲本市)
日光も奥は紅葉の濃しと聞く 横井 加織 (洲本市)
お十夜や問はず語りに母のこと 三根 香南 (洲本市)
淡路若葉会 (洲本市)(代表/久保 英美 洲本市本町8-5-15)
せめぎあふ極みに現るる大渦潮 高木 智念 (大阪市)
足湯して仰ぐ天守や秋高し 谷 勝美 (洲本市)
秋の野に微笑み在す寄せ地蔵 津司 晴美 (洲本市)
練塀にどっかと座り松手入 増田 直美 (洲本市)
萩の花蝶のせせりてささゆるる 松本 眞美 (洲本市)
団栗を描くと浮かぶりすの顔 米田 静子 (淡路市)
秋輿の城に法螺吹き太鼓打ち 久保 英美 (洲本市)
《短 歌》
サラダ歌人クラブ(洲本市) (代表/島田 英樹 洲本市中川原町三木田434)
柿とりて帰りし孫と嫁の声のこる畑に小菊むれ咲く 荒浜 悦子 (洲本市)
雨続き空気に湿るが嫌なのか蜘蛛うごかずに壁に張りつく 池上 壽一 (洲本市)
月の夜は胸さはさはと揺るといふまことさうなるスーパームーン 大村 博子 (洲本市)
まじまじと明兆像を眺むれば天真爛漫にじむ優しさ 川村 まもる (洲本市)
かたむきし古き無住のあみだ堂お詣りに聞く鶯の声 後藤 州永 (洲本市)
稲かりてどん栗拾いなつかしく母と歌ったどん栗の歌 近藤 すま子 (洲本市)
女子旅の男性一人アッシー君余部鉄橋テッペンあるく 笹津 ちよみ (洲本市)
しみじみと〈風に吹かれて〉聞く茶房京都四条のリプトンに居て 島田 英樹 (洲本市)
遠くても君を見てるよ大丈夫そっとささやくミニマムムーン 内藤 晶子 (洲本市)
真白け 真白けだよ 一心だ 大渦潮を 世界遺産に 東 雅山 (洲本市)
オレンジだと幼の指さす枝に光る柿の実空はコバルトブルー 平野 慶子 (洲本市)
炎昼にひとり立てませる明兆像室町の世は涼しかりけむ 前田 陽子 (洲本市)
胸キュン短歌クラブ (洲本市) (代表/野崎 俊 洲本市上物部766‐7)
トンネルを抜ければ視界は神戸港六甲山は冬を待ちおり 長木 玲子 (洲本市)
日々多忙それが生き甲斐頼られて心はつらつそれが人生 川村 まもる (洲本市)
母に聴き妻が作った手料理は思いを繋ぐあたたかさあり 寿円 裕彦 (洲本市)
公民館うたごえ広場の美男美女胸キュンワルツを笑顔で歌ふ 荒浜 寿扇 (洲本市)
着ることのなき紋付を縫ひくれし母を偲べばゴミには出せず 赤松 恭好 (洲本市)
猪さん天塩にかけたさつま芋少しはお残し人間さまに 岡崎 愛子 (洲本市)
知らぬ間に家の回りの枯葉掃くナイト勤務の染み付き故か 野崎 俊 (洲本市)
あわじ島歌人クラブ(南あわじ市)(代表/清水 昭男 南あわじ市伊加利1062)
そっくりのアンドロイドはミステリー自分でありて自分にあらず 大村 博子 (洲本市)
発条を閑かに戻す音盤の「乙女の祈り」沓き日の夢 清水 昭男 (南あわじ市)
鰯追い空、海よりの島、魬 釣り人加わり波止場はドラマ 杉山 正範 (洲本市)
秋草の騒がし迄に戦ぎいる草刈り三度ため息こぼれ 徳田 しい (淡路市)
初リンゴ信濃の味を手の中にくりくりくりとモビールのごと 長木 玲子 (洲本市)
後妻業欲を求めて自滅する愛し愛される幸せ知らず 萩尾 敏子 (淡路市)
リオ五輪若者達は跳ねて飛ぶ見とれて夜の更けるを忘る 東田 壽美子 (洲本市)
激動をつつみこむなり茅渟の海戦中戦後地震(ない)に堪えなむ 山口 泰志 (淡路市)
新月短歌社淡路支部(洲本市) (代表/谷池 さなえ 洲本市下内膳485‐1)
風雨去り晴れわたり今朝の空柿もほんのり秋色の増す 東 美恵子 (洲本市)
秋らしきスカーフ選ぶひとときに心弾みぬ齢古りたるも 磯見 峯子 (南あわじ市)
浮き上がり又もや沈む波のうえ鳴門観潮肝冷やしつつ 太田 立子 (洲本市)
庭の花受け入れましと口あけてまつ卓上の古徳利は 尾崎 雪子 (洲本市)
伝えたき大震災の恐ろしさ知らぬ人らの増える二十一年 金田 順子 (洲本市)
新月の海辺に宿る夜深く星さんざめき身に降るごとし 川端 美智子 (洲本市)
本堂の菩提に向かひ願ひゐる妻とわれとのそれぞれの生き 島田 英樹 (洲本市)
真青なる朝明けのもと呆けいる白百日紅に秋深まりぬ 田中 みえ子 (洲本市)
淡路島ありてこそなる海峡をあかしなるとと誰が名付けしや 谷池 さなえ (洲本市)
かやぶきの美山の里に鯉幟り山の緑と彩なす美しさ 谷畑 恵山 (洲本市)
ふれあいの和太鼓の音は難聴の吾に届けり秋陽かがやく 中西 弘子 (洲本市)
途方もなき日月生きてふり返るわが過ぎ越しは野辺の雑草 南部 清美 (洲本市)
実を結ぶ木々の根方にむらさきの紫式部は物語して 沼田 茂子 (南あわじ市)
四世代そろいし連休三日すぎ空気の抜けしボールの家うち 山本 弘子 (洲本市)
第39回作品展 平成29年(2017
《短 歌》
サラダ歌人クラブ (洲本市)(代表/島田 英樹 洲本市中川原町三木田434)
老人会そわそわ顔の妻弾み七十七才お手手つないで 池上 壽一 (洲本市)
人はみな思いのままに生きている大切なのはハーモニーかも 川村 まもる (洲本市)
傾ける旧き無住のあみだ堂お詣りに聞く鶯の聲 後藤 州永 (洲本市)
一人農真夜の大雨目をこすり稲田みまわりライト片手に 近藤 すま子 (洲本市)
我が膝に好んですわる幼子の髪のにほひののどかな春日 笹津 ちよみ (洲本市)
〈忖度〉はちよつぴり心を推し量るもとは美しき言葉にありき 島田 英樹 (洲本市)
明兆の頭をなでてありがたや孫志望校 われボケ予防 東 雅山 (洲本市)
菊花展福助だるまの大輪に寄り添ふ小鉢には園児の名札 平野 慶子 (洲本市)
千年の歴史を誇る観音像それにも勝る尼僧の眼光 前田 陽子 (洲本市)
千鳥短歌会(南あわじ市)(代表/山田 恵子 南あわじ市榎列大榎列751-5)
古希越ゆもお役に立つかと問ひ合はす国境なき医師団日本支部に 大鐘 稔彦 (南あわじ市)
夕闇に刈田の煙溶けてゆくお寺の鐘も共にまじりて 亀井 美代子 (南あわじ市)
良き時期を待ちかね出かける二時間は一年分の梅を買う旅 亀井 良子 (南あわじ市)
彼岸来て秋風吹くを待ちいるにあれあれ熱き政治風吹く 喜田 久美子 (南あわじ市)
ただ一度きりをおもひて咲くからにかくもはればれ立つや水仙 小林 照代 (南あわじ市)
遥か地へ飛び立つ白鳥決断のその一瞬は不意に来るのか 蛇持 波路 (洲本市)
おじいちゃんなぜひげがあるのおばあちゃんなぜしわがあるの風薫る午後 助島 美江 (南あわじ市)
光受け夢運ぶごとき飛行機を見上げる吾の手にレジ袋 平 啓子 (南あわじ市)
立待の月もまたよし一つ星に導かれつつ中空すすむ 日種 和子 (南あわじ市)
約束を果たそうとしてコスモスは風に負けずに花を咲かせる 北条 志津子 (南あわじ市)
敬老の会に園児ら集ひ来てひととき癒さる無垢な笑顔に 前谷 節子 (南あわじ市)
折鶴を折りくれたりしオバマ氏の気づかい想ふ原爆記念日に 宮本 率子 (南あわじ市
見えぬ羽広げて君に会いにゆく春うららかな真昼の夢に 山田 恵子 (南あわじ市)
胸キュン短歌クラブ(洲本市)(代表/野崎 俊 洲本市上物部766‐7)
ふるさとを空から眺め原点に返る二十歳の新たな門出 上田 ルミー (洲本市)
うず潮を横目で走る観光バス今日はラッキー旅の始まり 岡崎 愛子 (洲本市)
年老いて海外旅行果せずにテレビ楽しむパリーロンドン 岸 貴美子 (洲本市)
スーパーの淡路玉葱ヨーグルト牛乳なつかしふるさとの味 斉藤 和子 (横浜市)
傘寿過ぎこれが最後か鈍色の新車に過ぎし人生浮かぶ 下村 忠 (南あわじ市)
泣き暮れし涙の過去を吹き飛ばし笑顔の日々に塗り変え生きる 下村 三重子(南あわじ市)
「ホーホーホー」野鳩の声は人恋し野辺に送りし夫と子偲ぶ 長木 玲子 (洲本市)
ピンポーンと届くメールが楽しみに孫の笑顔に日々癒される 野崎 俊 (洲本市)
「オイおかん」われを見下ろす大男キミは今でも寝顔は五歳 久田 美智子(南あわじ市)
『芋粥』を読めば芋がゆ炊いてみる吾が生き様に納得しつゝ 松島 加代子 (洲本市)
下手だけど出展しようこのこの色紙only oneの花を咲かそう 荒浜 悦紅 (洲本市)
あわじ島歌人クラブ(南あわじ市)(代表/清水 昭男 南あわじ市伊加利1062)
春兆す光のなかに自らの非をうべなへば安らぎてゆく 荒濵 悦子 (洲本市)
四十年呼びつゞけたる母と娘の長き嗚咽を風よ 伝へよ 清水 昭男 (南あわじ市)
明けの日に釣り糸垂らし釣果待つ碧さぎとわれ阿吽の呼気よ 徳田 しい (淡路市)
同窓会 眉間の皺が物語る人生重荷を背負いて歩く 長尾 洋子 (南あわじ市)
秋夕日瀬戸の海をば沈むとき島は紫色に輝けり 長木 玲子 (洲本市)
草の根の陛下拝謁五十年異郷の想い友と語らむ 山口 泰志 (淡路市)
新月短歌社淡路支部(洲本市)(代表/谷池 さなえ 洲本市下内膳485‐1)
見晴るかす新緑照り映え鳥の声のどかに聞こゆ山里の朝 東 美恵子 (洲本市)
どくだみの絵手紙届きわが庭の無為に引きたるどくだみ惜しむ 磯見 峯子(南あわじ市)
抑えても涙わきくる阿波十の母子の情愛浄瑠璃ライブに 太田 立子 (洲本市)
皓皓と名月のぼる天高く宇宙の奏聞こす閑けさ 尾崎 雪子 (洲本市)
秋草の数挿すほどにうら寂し籠の尾花に風や吹くらん 川端 美智子 (洲本市)
いく度の野分きに耐へて捻りたる稲穂ずつしり獲り入れを待つ 島田 英樹 (洲本市)
ひと夏を稼ぎしボートさやさやと浜吹く風に乾きいるなり 田中 みえ子 (洲本市)
残生の時間こくこくと減りおれば疎遠の人ら脳裏をよぎる 谷池 さなえ (洲本市)
一とせの寿命延びゆく心地にて秋風まとい虫の音を聴く 中西 弘子 (洲本市)
息をのむ白く香の立つ風蘭に夏至のあしたのベランダ澄みて 沼田 茂子 (南あわじ市)
スマホなど使えなくても握る鍬前へ前へと畑土起す 山本 弘子 (洲本市)
《雑 俳》
淡路雅交会(南あわじ市)(代表/池添 醉心 南あわじ市榎列大榎列1432)
指 足し算習う 孫に貸す 小濱 志月 (南あわじ市)
人並に 苦楽も越えて共に老い 大濱 星雀 (南あわじ市)
夫婦して 建てた豪邸 子は住まず 栗林 恒林 (南あわじ市)
つよいつよい 一家支える 母の腕 北川 柚子 (南あわじ市)
秘伝の火薬 満天に 苦心染め 樫原 幸源 (南あわじ市)
白寿を称え 積んだ功せき 北川 博仙 (南あわじ市)
ひど過ぎて 田の中程に 孫が出来 薮田 台三 (南あわじ市)
夜 ねずみ小僧は 稼働中 森下 おさむ (南あわじ市)
勇気出し 出過ぎりゃ杭も打たれまい 倉本 圭山 (南あわじ市)
酒 女子会派手に 大ジョッキ 以頭 芙蓉 (南あわじ市)
年を取り 我が身忘れて 子を案じ 本濱 幸湖 (南あわじ市)
しまは人へり まちは店しめ 中川 桔梗 (南あわじ市)
過ぎし日偲ぶ 諭鶴羽の句碑 中川 葵衣 (南あわじ市)
老いて思うは 両親の愛 中川 息吹 (南あわじ市)
白い素肌が 湯煙に浮き 樫本 静楽 (南あわじ市)
親 亡くて古里 遠くなり 谷田 岩夫 (南あわじ市)
まん丸い 巨体と技で沸く土俵 東良 峰月 (南あわじ市)
《俳 句》
淡路風土俳句会(南あわじ市)(代表/正井 良徳 南あわじ市神代国衙614‐1)
秋晴やお前は喜寿でわしゃ傘寿 服部 達明 (南あわじ市)
直虎に白を足したる老菊師 近藤 守 (南あわじ市)
狛犬に気迫ありけり神の留守 正井 香代子 (南あわじ市)
潮鳴は軍兵のこゑ夜長かな 岩本 孝之 (淡路市)
古民家に珈玭の香や秋あかね 原 博美 (南あわじ市)
古民家に琴の響きや秋の夜 山崎 潤子 (南あわじ市)
抗えぬ古希の身を焼く大暑かな 馬場 正人 (淡路市)
ゆるやかに春のたたみは暮れにけり 船越 敬子 (洲本市)
雛の字を忘れし母や雛飾る 金山 悦子 (南あわじ市)
穭田の青芽伸び伸び意気盛ん 堤 千鶴子 (南あわじ市)
宿坊の枯山水に賞でる月 入谷 晋市 (南あわじ市)
千年の幹より散るや橋もみじ 樫木 育子 (南あわじ市)
そぞろ寒人の流れの中にゐて 正井 良徳 (南あわじ市)
岩屋句会 (淡路市)(代表/大星 たかし 淡路市岩屋345)
文結ぶ児らの風船いま空へ 大星 たかし (淡路市)
雲に消え雲より生るる雲雀かな 平松 文子 (淡路市)
遠望の牛動かず秋落暉 田島 ひで子 (淡路市)
陸を見ぬ航路幾日銀河濃し 吉田 碧舟 (淡路市)
黒揚羽木木に挨拶して去りぬ 畑 美代子 (淡路市)
岩に砕け波に押さるるけふの月 岡 紀代子 (淡路市)
夜神楽や爆ぜる火を嗅ぎ音を聞き 土井 幸子 (明石市)
西瓜買ふ糖度表示を疑はず 萩原 万喜子 (淡路市)
茶摘唄ならぬハミング風にのり 田尻 洋子 (淡路市)
海峡の橋は時雨の中にあり 前川 勝 (淡路市)
淡路若葉会 (洲本市)(代表/久保 英美 洲本市本町8-5-15)
朝まだき本殿灯す神迎 谷 勝美 (洲本市)
吾が街の要の天守城小春 増田 直美 (洲本市)
秋空の下にぽつんと一軒家 米田 静子 (淡路市)
せめぎあふ極みの現る留大渦しほ 高木 智念 (大阪市)
冬ぬくしさびしきときは海を見て 久保 英美 (洲本市)
南淡七曜俳句会 (南あわじ市)(代表/稲山 忠利 南あわじ市北阿万筒井468)
水際を歩いてゐたる春の鴨 稲山 忠利 (南あわじ市)
秋天の白鷺城は翅拡げ 榎本 純子 (南あわじ市)
眠る児の耳朶透きとほる秋の暮 奥井 京子 (南あわじ市)
棟上げの餅隣より萩の花 狩野 夏子 (南あわじ市)
鶴亀の石にさざ波鶲くる 喜田 明子 (南あわじ市)
若冲の鶏冠の真赤大旦 欅田 柊子 (南あわじ市)
ポケットの団栗を出し洗濯す 竹内 直美 (南あわじ市)
秋団扇椅子の上にと重ねられ 谷先 輝彦 (南あわじ市)
屋根瓦ドンと音して熟柿落つ 堤 千鶴子 (南あわじ市)
折りたたむ傘の雫や秋めきて 藤堂 淳子 (南あわじ市)
石けりてころりと止まる秋の暮 林 育枝 (南あわじ市)
蓼の花道ぞいに咲きたたずみて 山崎 榮子 (南あわじ市)
あわじ島句会(洲本市)(代表/三根 香南 洲本市物部1‐16‐50)
厄除けの御札手の中実南天 石田 悦雄 (神戸市)
夕映えに溶けず交じらず木守柿 泉 栄子 (淡路市)
旅ながら立待の月詠みにけり 大継 淳子 (洲本市)
狗尾草茅葺屋根に揺れゐたり 鬼本 英太郎 (神戸市)
厨窓昼月たかく秋刀魚焼く 片山 紀子 (南あわじ市)
あかときのお登勢の像の肩に露 小谷 恵美子 (洲本市)
今日の色一つ加へし城の秋 山岡 仁美子 (洲本市)
稲架並ぶ野辺の送りの帰り道 横井 加織 (洲本市)
風呂敷はものの形に一葉忌 三根 香南 (洲本市)
第40回作品展 平成30年(2018)
《雑 俳》
淡路雅交会(南あわじ市)(代表/池添 醉心 南あわじ市榎列大榎列1432)
賑わう福良 島の弗箱 森下 おさむ(南あわじ市)
戦時を知らぬ 今の飽食 北川 博仙 (南あわじ市)
ラッキーな向かい風来たラージヒル 薮田 台山 (南あわじ市)
竿の値段に見合わない腕 倉本 圭山 (南あわじ市)
先人の知恵 活かす防災 北川 柚子 (南あわじ市)
あんた誰 言われながらの親介護 小濱 志月 (南あわじ市)
つながって 襷歓喜のゴールイン 松崎 薫 (南あわじ市)
道草も後悔もして年重ね 松崎 美与し (南あわじ市)
保険かけたが亭主健康 松崎 ホタル (南あわじ市)
障子に笹を落書き 谷田 岩夫 (南あわじ市)
こつこつ貯めりゃ使う子が待つ 中川 桔梗 (南あわじ市)
雑踏の中 君だけが見え 中川 息吹 (南あわじ市)
靄にかすんで古都を絵にする 樫本 静楽 (南あわじ市)
望みもち核ない世界鐘をつき 以頭 芙蓉 (南あわじ市)
明石鳴門と無理に鯛分け 中川 葵衣 (南あわじ市)
利用してパッチワークで端切れ生き 本濱 幸湖 (南あわじ市)
まん丸い 巨体と技に土俵沸き 東良 峰月 (南あわじ市)
《俳 句》
岩屋句会(淡路市)(代表/大星 たかし 淡路市岩屋345)
手に馴染む小さき碗に新酒酌む 田島 ひで子 (淡路市)
ブテックの窓ごしに散る銀杏かな 畑 美代子 (淡路市)
月今宵絵島は獅子の形相に 前川 勝 (淡路市)
その中に恩師の一句初暦 平松 文子 (淡路市)
いちまいの空いちめんの秋桜 大星 たかし (淡路市)
十六夜や流れて早き千切れ雲 萩原 万喜子(淡路市)
子供等の声弾けて秋の山 薄木 和子 (明石市)
身ほとりに動くものなく小夜時雨 田尻 洋子 (淡路市)
晩秋や舟板塀の蔵めぐり 土井 幸子 (明石市)
思ひ出を遺影と語る良夜かな 田中 歌代子(淡路市)
南淡七曜俳句会(南あわじ市)(代表/稲山 忠利 南あわじ市北阿万筒井468)
冬来たる天地返しの土の艶 稲山 忠利 (南あわじ市)
初秋の風の素直に花頭窓 榎本 純子 (南あわじ市)
老いけちらし揺るる背丈の白芙蓉 奥井 京子 (南あわじ市)
鰯雲カヌーの辷る洲本川 狩野 夏子 (南あわじ市)
新蕎麦や歳月古りし自在鈎 喜田 明子 (南あわじ市)
廃窯の焚口覗覘く冬日かな 欅田 柊子 (南あわじ市)
扇風機静かに回る羽根の音 谷先 輝彦 (南あわじ市)
寝待月ベンガラ格子並ぶ路地 堤 千鶴子 (南あわじ市)
明けがたの雫を留めみだれ萩 藤堂 淳子 (南あわじ市)
無花果の掘割の石崩れをり 林 育枝 (南あわじ市)
すだち採る鋏の音の鳴り止まず 山崎 榮子 (南あわじ市)
淡路風土俳句会(南あわじ市)(代表/正井 良徳 南あわじ市神代国衙614‐1)
鳴り響く銅鐸の夢山笑ふ 服部 達明 (南あわじ市)
秋の蝶地に這う花を墓標とす 近藤 守 (南あわじ市)
星月夜峠ひとつを急がるる 船越 敬子 (洲本市)
航を終ふフェリーの汽笛浜防風 岩本 孝之 (淡路市)
卯波背に老夫の顎の無精髭 金山 悦子 (南あわじ市)
一山の光集めしつ石蕗の花 原 博美 (南あわじ市)
菊月や名人さばく鮪ショー 堤 千鶴子 (南あわじ市)
蓋とれば炊き込みの香や豊の秋 入谷 晋市 (南あわじ市)
筒ゐづつさざんかの紅きはまれり 正井 香代子 (南あわじ市)
冬の木偶シャッター切るや皓き修羅 山崎 潤子 (南あわじ市)
霧晴れて鮮やかりんご空に映え 樫木 育子 (南あわじ市)
今朝の秋時代を生きて共白髪 馬場 正人 (淡路市)
素語りの十八番は御殿小鳥来る 正井 良徳 (南あわじ市)
あわじ島句会(洲本市)(代表/三根 香南 洲本市物部1‐16‐50)
再検査呟く人に秋刀魚焼く 泉 栄子 (淡路市)
行きずりの風に乗り継ぐ赤とんぼ 江川 隆子 (淡路市)
秋風に岬鼻の句碑幣ふかれ 大継 淳子 (洲本市)
明けてきし峡の藁屋根水烟る 鬼本 英太郎(神戸市)
風呂吹に祖母の味する土鍋かな 片山 紀子(南あわじ市)
小春日の風に揺れゐる産着かな 木下 圭子 (洲本市)
迦楼羅像古都に小春を呼び寄せり 小平 京子 (淡路市)
枇杷の咲く深山田遥か播磨灘 小谷 恵美子(洲本市)
阿吽の山門覆ふ薄紅葉 長手 幸代 (洲本市)
枇杷の花香る改札無人駅 森 敦子 (洲本市)
初しぐれ旅路の虹のひとかけら 山岡 仁美子(洲本市)
一枚は巻き上げてあり秋簾 三根 香南 (洲本市)
淡路若葉会(洲本市)(代表/久保 英美 洲本市本町8-5-15)
秋興の大鯛を釣る戎舞 久保 英美 (洲本市)
黎明の雲海に峙つ牙城かな 高木 智念 (宮崎県)
旅の宿更待月の耿々と 谷 勝美 (洲本市)
山寺の磐石伝ふ苔清水 津司 晴美 (洲本市)
櫨紅葉して間道の暗からず 増田 直美 (洲本市)
尼寺へ径坂がかり栗の花 松本 眞美 (洲本市)
《短 歌》
千鳥短歌会(南あわじ市)(代表/山田 恵子 南あわじ市榎列大榎列751-5)
くたびれた白衣をまとい殺風景な研究室にゐた本庶佑 大鐘 稔彦 (南あわじ市)
ヤマボウシ眩しきまでに白き花空に向かいて咲き誇りたり 亀井 良子 (南あわじ市)
旅先で絵はがき出そうと決めたとき鞄の中はあたたか色に 蛇持 波路 (洲本市)
久々の孫と掘りたる筍はみやげとなりて旅に出ていく 助島 美江 (南あわじ市)
目の前に零れて跳ねし柿の花そっと拾って手のひらに置く 平 啓子 (南あわじ市)
二才の子尾畠春夫に出会えたり三日三晩を生きてよしきちゃん 土井 桂子 (南あわじ市)
客扱いしている街の路地裏を石けりしながら歩いてやろう 山田 恵子 (南あわじ市)
サラダ歌人クラブ(洲本市)(代表/島田 英樹 洲本市中川原町三木田434)
あの空の向こうの向こうに誰か居る死者となりたる星の数かず 池上 壽一 (洲本市)
友を呼び花壇つくりて上手くゆき片付け済みて今日は秋晴れ 川村 まもる(洲本市)
杉の枝にツクツクボウシツクンヨー楽園となるわが家の庭は 後藤 州永 (洲本市)
花火の夜はぐれぬ様にふれし手が恋人つなぎに下駄も軽やか 笹津 ちよみ(洲本市)
半端なき今年の猛暑のもとは何さては火星の大接近かは 島田 英樹 (洲本市)
産み終えてなに夢みるや蝶ひとつ金柑の葉にしばし動かじ 東 雅山 (洲本市)
百歳の人生設計描けぬまま百歳体操積み重ねをり 平野 慶子 (洲本市)
婆二人 一人の孫の作文に顔よせて見る休けい時間 前田 陽子 (洲本市)
まぼろしに水車の廻る音きこゆ涸れし川原に群れ咲く野菊 荒浜 悦子 (洲本市)
胸キュン短歌クラブ(洲本市)(代表/野崎 俊 洲本市上物部766‐7)
海に沿いハンドル握る視野のなか つわぶき咲きぬ昔のまゝに 松島 加代子(洲本市)
美しき朝陽夕陽や野の花も神のみわざと覚えて感謝 野崎 俊 (洲本市)
下手だけど出展しますこの色紙only oneの華を咲かそう 荒浜 悦紅 (洲本市)
リユック負い買物をする故里の母さん明るく元気でいてね 斉藤 和子 (横浜市)
「さようなら」歌声広場の仲間たち元気でいてねと最後の合唱 長木 玲子 (東京都)
チョコレートの残り香みたいな人生だ甘苦い味 鼻腔をくすぐる 清水 奈智子 (東京都)
仲秋の松の梢にいでし月母におわれたぬくもりおぼゆ 岸 貴美子 (洲本市)
石蕗は何と食用 薬用に鮮やかな黄色心も癒す 岡崎 愛子 (洲本市)
歌、絵画あまたの趣味で八十路きてやっぱり仕事が一番楽し 下村 忠 (南あわじ市)
百冊の日記で人生ふり返り涙と笑いが駆け巡りゆく 下村 三重子(南あわじ市)
あこがれた紺の詰襟今日最後 夢を抱いて子は巣立ちゆく 久田 美智子(南あわじ市)
就活のスーツの娘の行く先にまぶしい朝の光が届く 上田 ルミー (洲本市)
新月短歌社淡路支部(洲本市) (代表/谷池 さなえ 洲本市下内膳485‐1)
旭日を拝して祈る幸の園空晴れわたり希望湧きくる 東 美恵子(洲本市)
暮れなずむ明石海峡凪ぎわたり切り絵とまごう釣舟浮かぶ 磯見 峯子(南あわじ市)
軽軽と足運びゆく踊り手の気迫に圧倒この暑き中 太田 立子 (洲本市)
楽しみは待てど待てども現はれぬ雲なかくしそ中秋の月 尾崎 雪子 (洲本市)
熱帯夜いつしか去りて長月か蟋蟀の鳴く静かな今宵 金田 順子 (洲本市)
母の呼ぶ湯船に四人子犇きて善き日暮たり明日は元日 川端 美智子(洲本市)
乙女子の総身が詩よ風となり碧き海原かけ抜けてゆく 島田 英樹 (洲本市)
反射角ぴたりと合いて草の露朝日に光る命たまゆら 谷池 さなえ (洲本市)
雲にのり昇り出でたる清き月二重に見ゆるは乱視の故か 中西 弘子 (洲本市)
むらさきに藤の花房あかるめるバスゆく窓の丹波丹後へ 沼田 茂子 (南あわじ市)
賜わりし残るいのちを存分にプラスマイナスゼロに生きよう 山本 弘子 (洲本市)
あわじ島歌人クラブ(南あわじ市)(代表/清水 昭男 南あわじ市伊加利1062)
春きざす光の中に自らの 非をうべなへば安らぎてゆく 荒濵 悦子 (洲本市)
銀杏の道化師たちが笑つてる地に届くまで風に任せむ 清水 昭男 (南あわじ市)
浜あそび真黒に焼けし児等が笑み炎天のまま夕日が沈む 徳田 しい (淡路市)
満開のしだれ梅の木シャンデリアそよ吹く風が頬をなでゆく 長木 玲子 (洲本市)
浜の子の昔話になごむ午(ひる)空海の青浜辺の喫茶 東田 壽美子 (洲本市)
穂先剪る二連梯子の光りゐる現役つづく八十路仲間と 山口 泰志 (淡路市)
第41回作品展 令和元年(2019)
《雑 俳》
淡路雅交会(南あわじ市)(代表/池添 醉心 南あわじ市榎列大榎列1432)
一茶の情に 小雀も泣き 谷田 岩夫 (南あわじ市)
人生一路 妻と寄り添い 中川 息吹 (南あわじ市)
目立っとる 村に一本鯉のぼり 以頭 芙蓉 (南あわじ市)
うたかたの 錦秋装う 里の山 中川 葵衣 (南あわじ市)
寄り添うて 幸せ誓う 夢未来 東良 峰月 (南あわじ市)
今言うて 忘れ又言う 老いの日々 中川 桔梗 (南あわじ市)
見られとる 内弁慶を知る女房 薮田 台山 (南あわじ市)
リフォームで着る 母の大島 小濱 志月 (南あわじ市)
輪切りしてみる 医者の診断 松崎 美与し(南あわじ市)
男女格差が あった父の日 倉本 圭山 (南あわじ市)
無関心 神棚無いぞ新所帯 森下 おさむ(南あわじ市)
乳母車 幸せ運ぶ 天使乗せ 松崎 ホタル (南あわじ市)
スルメを焼いて キリン口あけ 北川 博仙 (南あわじ市)
菊の花 御代を受け継ぐ即位式 北川 柚子 (南あわじ市)
東京 青で千人交差点 福島 黄梅 (南あわじ市)
組み合わせ 花競わせたプランター 西山 池月 (南あわじ市)
甲子園には 裏口がない 赤木 柿心 (南あわじ市)
《短 歌》
千鳥短歌会(南あわじ市)(代表/山田 恵子 南あわじ市榎列大榎列751-5)
令和には何か馴染めぬもの覚ゆ 万葉学者は自画自賛すれど 大鐘 稔彦 (南あわじ市)
人生の余白はわづかと思ひつつ記せる事の今日もなきなり 亀井 美代子(南あわじ市)
ひたすらに自転車をこぐ老い人よ 令和に生きる目力見たり 亀井 良子 (南あわじ市)
とれとれの野菜を喜ぶ孫の顔を浮かべつつ走る新緑の中 助島 美江 (南あわじ市)
合唱をしているごとく嘴を大きくあけて餌待つ雛は 平 啓子 (南あわじ市)
秋風のゆきかう谷間の緑先に野良猫一匹まるまりており 高田 奈加子 (洲本市)
羽化させし揚羽手に乗り飛び立ちぬ八歳の孫にさよならをして 土井 桂子 (南あわじ市)
編隊の先頭をゆく雁の背は曖昧なもの一切見せず 蛇持 波路 (洲本市)
文月の藪の中より鶯の何を悲しむ弱きその声 前谷 節子 (南あわじ市)
終止形にならざる想いのせり上がる 抑えなければ咲く立葵 山田 恵子 (南あわじ市)
サラダ歌人クラブ(洲本市)(代表/島田 英樹 洲本市中川原町三木田434)
うるわしき面影やさしまなざしの永久にこの世の光とならん 荒浜 悦子 (洲本市)
百歳に近き父乗せ車椅子押して寄り場に連れくる息子 池上 壽一 (洲本市)
入所の父の帰りたきポーズ見逃さず連れ出すほどに笑顔となりて 川村 まもる(洲本市)
可愛いな罠にうり坊トラックで桜が丘へスターの様に 後藤 州永 (洲本市)
厳かに令和始まり四元号生き抜く母に花は満ちたり 笹津 ちよみ(洲本市)
レモン水二リットル分空にして猛暑真昼にテニスのバトル 島田 英樹 (洲本市)
ようやくに子離れしたるこの私なれどむなしさつのる芒よ 障子川 則子(神戸市)
秋深くとなりの庭は花盛り風の間に間に香りが揺れる 平野 慶子 (洲本市)
枇杷色の大きな稲穂なみうてば来年減反の決意の揺らぐ 前田 陽子 (洲本市)
新月淡路短歌会(洲本市) (代表/尾崎 雪子 洲本市宇山1-1-9)
限りある人生素直に送りたし誓う朝いち旅の宿にて 東 美恵子 (洲本市)
何となく目覚め清しき早朝を化繊ひんやり秋の気配す 磯見 峯子(南あわじ市)
草叢の木槿際立ち風に耐え危うきまでに白く充ち咲く 井上 恭子 (洲本市)
行く道の真夏の陽射しに咲き溢る百日紅並木ハンドル軽し 太田 立子 (洲本市)
やはらかに若葉青める庭の辺の上枝に宿る蝋梅の実は 尾崎 雪子 (洲本市)
居待月求めて外へ出て行けば虫の音涼し洲本城照る 金田 順子 (洲本市)
蔀戸の春日やをらにみめぐりて阿弥陀三尊影うごくがに 川端 美智子(洲本市)
夏来れば母の手縫ひの浴衣にて蛸薬師通りのあの〝さくら湯〟へ (学生時代) 島田 英樹 (洲本市)
蟬時雨ぴたり止みたる公園に肌をなでゆく初秋の風 竹田 富貴子(洲本市)
合歓の花小さき雨粒やどしつつ淡きくれない一樹を化粧う 谷池 さなえ(洲本市)
米作の赤字を話す農夫たち 実る稲穂は老いの身に沁む 中西 弘子 (洲本市)
うな丼にお久し振りねと声掛けていただく私を笑うヘルパーさん 南部 清美 (洲本市)
おどり生え繁みの中のさるすべりふれがたきまで淡きくれなゐ 沼田 茂子 (南あわじ市)
戦なき世に存らえて花盛り桜大樹の根方踏み立つ 山本 弘子 (洲本市)
あわじ島歌人クラブ(南あわじ市)(代表/清水 昭男 南あわじ市伊加利1062)
紫の羽織にあえる母なりき つわぶきの花咲ける山路に 荒濵 悦子 (洲本市)
水害の余りのむごさに目を覆う 何処に逃げんや月か火星か 岡崎 愛子 (洲本市)
スーパーの淡路玉ねぎヨーグルト牛乳なつかし古里の味 齊藤 和子 (横浜市)
ガンジスの川は気だるくたふたふと手を合はす影際立ちて黒 清水 昭男 (南あわじ市)
ひとひらの綿雲を染む朝焼けの凪の海面に漁船水脈ひく 徳田 しい (淡路市)
旅しおり伊香保温泉思い出す先立つ夫と新婚旅行 長木 玲子 (東京都)
太古より魅せる鳴門のうず潮は神の演出見事なるかな 野崎 俊 (洲本市)
刈り終へて匂ひ立つ岸片隅に朝鮮朝顔残せしブルー 松島 加代子(洲本市)
星霜を重ね歩みし一世紀遺さる歌碑の石狩挽歌 山口 泰志 (淡路市)
《俳 句》
淡路風土俳句会(南あわじ市)(代表/正井 良徳 南あわじ市神代国衙614‐1)
ご朱印に踊る令和や若葉風 服部 達明 (南あわじ市)
ゆふかぜに光ほどけしむくげかな 船越 敬子 (洲本市)
虫の声一瞬途絶えて闇深む 原 博美 (南あわじ市)
楕円球繋ぎスクラム秋の陣 堤 千鶴子 (南あわじ市)
笛方の指つんと立て盆踊 正井 香代子(南あわじ市)
青柿の落ちたる音や又一つ 金山 悦子 (南あわじ市)
色づきて稲田を分かつ彼岸花 馬場 正人 (淡路市)
頭上より栗鼠連れてくる若葉光 岩本 孝之 (淡路市)
人過ぎて風は曲がって秋の路地 山崎 潤子 (南あわじ市)
蟲隠れ戸をふさぎたる古き家 久井 知秋 (南あわじ市)
落陽の燃ゆる山の瀬紅葉かな 近藤 守 (南あわじ市)
秋風や競り行く子牛の声侘し 入谷 晋市 (南あわじ市)
懐かしき紅葉トンネル山の寺 樫木 育子 (南あわじ市)
牛の仔の鼻に日当る冬菜かな 正井 良徳 (南あわじ市)
岩屋句会(淡路市)(代表/大星 たかし 淡路市岩屋345)
月鉾の橋の下にて雨宿り 前川 勝 (淡路市)
ばべ・ぶな・なら・かし・ねずみもち紙を漉く 大星 たかし (淡路市)
二帖なる障子明りの茶室かな 平松 文子 (淡路市)
夕鰺をひさぐ女房の島訛 田尻 洋子 (淡路市)
会釈して過ぎたるは誰春の闇 萩原 万喜子(淡路市)
団栗をしかと握れる幼き手 薄木 和子 (明石市)
一壜のコロン空っぽ避暑終る 田島 ひで子 (淡路市)
睡蓮の見る見る開く白さかな 土井 幸子 (明石市)
裸木に星の懸かれる今宵かな 井上 美千代 (淡路市)
合歓の花しるべともなる峽の道 田中 歌代子 (淡路市)
鶏頭の直立不動寺の庭 上川 きよし (明石市)
南淡七曜俳句会(南あわじ市)(代表/稲山 忠利 南あわじ市北阿万筒井468)
刈り残る一穂に朝の露光る 朝野 成実 (南あわじ市)
畔草に花らっきょうの一ところ 稲山 忠利 (南あわじ市)
赤まんま座卓の脚に小座布団 榎本 純子 (南あわじ市)
一撃の深さ極まる熟し柿 奥井 京子 (南あわじ市)
山里へ続くぶだうの幟り旗 狩野 夏子 (南あわじ市)
邯鄲や岸はなれゆく屋形舟 喜田 明子 (南あわじ市)
秋高し庄屋の棟の青海波 欅田 柊子 (南あわじ市)
青い空路地通にも夏来る 谷先 輝彦 (南あわじ市)
穫れたての研ぐ手もどかし今年米 堤 千鶴子 (南あわじ市)
海の藍春の訪れすぐそこに 藤堂 淳子 (南あわじ市)
破れ傘茶碗によめぬ窯印 林 育枝 (南あわじ市)
あわじ島句会(洲本市) (代表/三根 香南 洲本市物部1‐16‐50)
半農の菜畑家の空鵙の声 泉 栄子 (淡路市)
風待ちの桜紅葉の散り怺ふ 江川 隆子 (淡路市)
善き神に荒ぶ神あり里神楽 鬼本 英太郎(神戸市)
向き変へる力の失せし枯蟷螂 大継 淳子 (洲本市)
鵙鳴いて苔生す杣の祠かな 片山 紀子 (南あわじ市)
遠ざかる大東京の後の月 木下 圭子 (洲本市)
暮早き山路に赤きななかまど 小平 京子 (淡路市)
雲を脱ぎ城山高く十三夜 小谷 恵美子 (洲本市)
声上げて鵙飛び立てる雨上がり 平岡 春風 (淡路市)
青嵐の生家の里の水澄めり 平川 紅仁子(南あわじ市)
草の戸にひとりに余る柿を干し 三根 香南 (洲本市)
山門の紅葉の色をうたがはず 森 敦子 (洲本市)
天守閣遥かに望む冬菜畑 山岡 仁美子 (洲本市)
彩りの異なる落葉掃き清め 横井 加織 (洲本市)
淡路若葉会 (洲本市)(代表/久保 英美 洲本市本町8-5-15)
冬日向ホスピス棟の談話室 鬼本 英太郎 (神戸市)
行くほどに山路の細り紅葉濃し 久保 英美 (洲本市)
蓑虫のぶら下がりたる里祠 小谷 恵美子 (洲本市)
里宮の杵で鐘つく音冴ゆる 谷 勝美 (洲本市)
七福神 一寺を残し秋日落つ 増田 直美 (洲本市)
渓流の底に紅葉を敷き詰めぬ 松本 眞美 (洲本市)
しぐるるや文字の薄れし標旗 山岡 仁美子 (洲本市)
蚯蚓鳴く夜はひたすら書を読みて 米田 静子 (淡路市)
第42回作品展 令和2年(2020)
《雑 俳》
開催は、洲本市・淡路文化資料館にて毎年11月下旬から12月上旬に行われます。
その実った果実の美味を十分にご賞味ください。
主催/兵庫県、財団法人兵庫県芸術文化協会、兵庫県地域文化
団体協議会、淡路文化団体連絡協議会、淡路文化協会